久々のマイル戦でも馬混みで我慢が利いていた
メイケイエールの前走、
安田記念。あの競馬が今回のス
プリント戦につながれば…。そんな期待を持たせる道中の内容だった。一方で結果15着ではラストの伸びが少し物足りなかった印象も…。これについては落鉄の影響もあったのだろうが、主戦の池添はまた別の側面を指摘する。
「
ヴィクトリアマイルに向けて仕上げて、(フレグモーネで)使えなくなって、もう一度立て直して…という流れはやっぱりきつかったんだと思う。フィジカルやメンタル的にも。その影響で調教でも暴走する感じがあったんだと思うので…」
走ることに対して真面目で一生懸命。そんな彼女にとって心身の
バランスは「好走の要」と言っていい。ゆえに引き絞った弓を放つことなく緩めるようなアク
シデントは「不運」としか言いようのないものだった。
「それを考えれば、今回はすごくいい過程を踏んでいるなと思います。休み明けが影響するタイプではないですし、それよりもメンタル面でしっかり過程を踏んでいくことが大事なので」
ウッドでいつもより長めから乗るなど、これまでより「攻めた調教」をしながらも、無駄に
テンションが上がっていないのは心強い材料だ。
さらに今回は馬だけでなく、人にもメンタル面でのプラス
アルファが。中間からハミを新たなもの(エッグバットハッピータン)に替え、昨年の
シルクロードSから着用している折り返し手綱も外した。これがジョッキー心理にもプラスに働いているようで…。
「折り返し(手綱)も効いてはいるんですけど、手綱を2本持つというのはなかなか難しくて。2本だと手綱を詰められない分、一度リズムを崩すとそのままで行かなきゃいけない。それがないというのは安心感がすごくありますね」
さらにはハミの効果についても「抑えられている感じがあったのは、自分の中ですごく大きいことですね」。新たな馬装で臨む3度目の
スプリンターズSに、鞍上は確かな手応えをにじませている。
「
メイケイエールと一緒にGIを勝ちたい」
そう何度も強い思いを口にしてきた池添に導かれ、9度目のチャレンジで悲願のGI初制覇へ。今年の
スプリンターズS(10月1日=中山芝外1200メートル)は
メイケイエールファンにとって最高の結末が待っているかもしれない。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ