【記者の目・小田　哲也】スルーセブンシーズの力走を「善戦」とはあえて言うまい。着差だけならエルコンドルパサーやオルフェーヴルは惜しかった。何より彼女は勝ちに行ったのだから。スムーズに直線で前が空いていたら…。尾関師は遠征に際して「ミモザ賞(重馬場)はあれだけの悪い馬場で勝ったので、もし悪くなってもこなしてくれると思います」と話していた。雨にたたられやすい例年の凱旋門賞と違って、晴天に恵まれ、優勝時計2分25秒50と日本に近い“好タイム”になったのが良かったかもしれない半面、道悪でも頑張れたはずで実はその方が勝ち負けまであったかも。果敢に挑んだことを素直にたたえたいと思う。

　国内G1勝ちがなく、海外遠征も初めての彼女の参戦は意義深い。ロンシャンの馬場や距離に適性があり得る馬を送る。血統的に父ドリームジャーニーの父ステイゴールドの直子オルフェーヴルが2年連続2着で結果を出していた。重い馬場でも強かったメジロマックイーンの血も入っている。まず適性、同時に遠征に耐えうる精神力など踏み切れた長所は多々あったと思う。

　日本調教馬の遠征候補になっているフランス、英国、米国、ドバイ、香港にはそれぞれ違う競馬がある。日本ではG1善戦止まり、いや重賞に手が届かない馬が実は異国の競馬に適合するケースはあるのでは？幸い日本には至宝ディープインパクトの血を引く馬を筆頭に、芝＆ダートともに一流の種牡馬や繁殖牝馬が集っている。ビッグタイトルがない彼女の力走に「来年は凱旋門賞に…」と勇気づけられた陣営も少なくないはずだ。

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