「
凱旋門賞・仏G1」(1日、パリロンシャン)
日本が誇る数々の名馬が挑み、そして高い壁にはね返された世界最高峰の一戦に今年、単騎乗り込んだ
スルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関)は4着と大善戦した。勝ったのは地元の
エースインパクト。13年
トレヴ以来、10年ぶりの無敗戴冠となった。2着は
ウエストオーバー、3着は
オネストだった。
JRAの馬券では5番人気。ファンの期待を胸に、日本からただ1頭海を渡った
スルーセブンシーズが、アッと言わせるパフォーマンスを披露した。道中は後方からとなったが、しっかりと脚をためて直線へ。馬群をさばきつつ、力強く脚を伸ばして先団に迫った。結果は4着も、見せ場十分の走りだった。
激闘を終えたルメールが振り返る。「スタートが遅かったので後ろからに。久しぶりの2400メートルで少しハミを取ってしまったけど、直線はスムーズによく伸びてくれました。ハイレベルの中で、すごくいいパフォーマンスを見せてくれました」。
1969年の
スピードシンボリ(着外)以来、延べ34頭目の挑戦。G1未勝利の身で果敢に挑んだ相棒に「今後、日本でG1を勝てるでしょう」と賛辞を贈った。
並み居る猛者がそろい、決して例年よりレベル的に恵まれたわけではない。それでも、生産牧場であるノーザン
ファームを筆頭に、世界を転戦した
グローリーヴェイズを管理した尾関師の経験と執念がつぎ込まれ、世界の強豪に食い下がる好走へとつながった。
指揮官は時折涙ぐみながら、「勝ちたかったので悔しい思いもあるけど、直線の素晴らしい伸びには、自分の馬ながらもよく頑張ってくれたと思いました。
当初、ジョッキーと話していたより後ろからになったけど、うまくリカバリーしてくれました。馬は初めての海外で、この距離も久しぶりなのに、これだけの結果を出してくれて本当に素晴らしい」と力走をたたえた。
今後については帰国後に決まるもよう。初の海外遠征は惜しい結果となったが、世界での活躍を期待され、『七つの海を越えて』という名を受けた小柄な5歳牝馬の大きな挑戦は、ファンの記憶に深く刻み込まれたに違いない。
提供:デイリースポーツ