「
シーズンリッチの優秀な帯同馬です(笑い)。乗りやすくてこんなにおとなしいオープン馬はなかなかいないですよ」
久保田厩舎の山崎助手から、こう紹介されたのがGII
京都大賞典(9日=京都芝外2400メートル)に出走予定の
サクセスシュート。
菊花賞を目指す
シーズンリッチの“相棒”として
神戸新聞杯の直前に一緒に栗東入りして調整が続けられてきた。
これまで「帯同馬」が最も脚光を浴びたケースといえば、
アヴェンティーノだろうか。2012年
凱旋門賞で惜しくもクビ差2着で栄冠を逃した
オルフェーヴルとともにフランスに遠征。自身は17着に敗れたものの、普段からいろいろな面でヤンチャな
オルフェーヴルをサポートして帯同馬の役割をしっかり果たしたことで「陰の功労者」と管理する池江調教師をはじめとする関係者が称賛したほどだった。
この
サクセスシュートも当初は帯同馬という目線で取材を続けていたのだが、改めてその戦績を精査すると、何とも魅力あふれる馬であることに気付いた。デビュー2戦はダートを使って勝ち切れなかったものの、芝への路線変更初戦で
エフフォーリアの半弟
ヴァンガーズハートを相手に真っ向勝負で競り落として勝ち上がりを決めている。
「当初から芝を使いたかったんですが、脚元の関係もあって3戦目でようやく。その最初の競馬で圧倒的1番人気馬を外からねじ伏せてくれたことで能力の高さを確認できました。その後も相手なりに走ってくれて、クラスが上がっても安定した競馬を続けてくれています。無駄にやる気を出さないというか、追い切りはいい意味であまり動かないですね。実戦でも直線だけしか競馬をしていないケースが多いので、調子の変動もあまりないんですよ」(山崎助手)
要はオンオフの切り替えが抜群に上手。これこそが
サクセスシュートのラストの爆発力へとつながっている。目下5戦連続で最速上がりをマーク。前走の
ジューンSでは4角15番手から直線だけで一気に突き抜けてオープン入りを決めた。
「カメラマンさんが立ち写真(競馬週刊誌のフォトパドック)を撮りに来てくれなくて…。あまり注目されていないみたいですね。取材に来たのも今のところ(当方を含めて)2人だけです」と山崎助手はやや自虐的だったが、その爆発力が重賞レベルでも通用するのかを試すには京都外回り2400メートルはうってつけの舞台と言えるのではないか。
イクイノックスを筆頭に
ドウデュース、
ジャスティンパレスなど「最強世代」と称される現4歳勢と同期の
サクセスシュートは20年北海道サマーセールで700万円で落札された超お値打ち馬。この
京都大賞典でも豪脚を発揮することができれば、それこそ
ジャパンCで前出トップ3に挑戦状を叩きつけることも…。世界が注目する大舞台での「下克上」を狙ってほしいと当方はひそかに願っている。
(栗東の
サクセス野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ