昨年の優勝馬
ドルチェモアはその勢いを駆って
朝日杯FSでGI制覇を達成。歴代の優勝馬にも
グランアレグリアや
サリオスなどのビッグネームが名を連ねるGIII
サウジアラビアRC(7日=東京芝1600メートル)は「出世レース」の代表格として早くも定着した感がある。
なぜこれほどまでに質の高いメンバーが集結するのか? 素質を高く評価されている馬ほど、早い時期に東京のマイル戦という紛れのない力勝負となるタフな条件を経験しておくことが、大きな飛躍のきっかけになるからに他ならない。登録馬9頭の少頭数ながら、今年も将来を嘱望される好素材が顔を揃えた。
その中でも注目してほしいのが関西からの遠征を予定している
レーヴジーニアル。阪神JF優勝馬
レッドリヴェールを母に持つ良血馬は4月早々に栗東へと入厩し、調教で素晴らしい動きを披露することで周囲の評価もグングンと高まりを見せていた。当然、7月の函館芝1800メートル新馬戦は1番人気。ところが…。楽なペースの番手を確保しながらも、直線でズルズルと後退する9着惨敗の結果にはショックを受けた方も多かったのでは? もちろん、期待をもって送り出した松永幹調教師もその一人だった。
「あれだけ調教で動けていたのに、ああいう結果ですからね。レース直後はがっかりでした。ただ、レース中に抑えようとした時に舌を巻き込んだような状態となり、息遣いを悪くしたことが分かって。だから2走目は舌を縛って、番組も札幌の芝1500メートルという条件を選びました」
対策を施して臨んだ8月の未勝利戦はジョッキーが促すとスッと先頭に立つ形。そのままよどみのないペースを刻んで、後続を抑え込む着差以上に強い競馬で初勝利を飾ってみせた。
「また無理に引っ張ると良くない感じがしたので(武)ユタカもああいう形を取ったようなんです。レースが終わって止めようとしたところでも、ノドの具合に気になるところが見られたよう。それでもジョッキーの好判断で勝ち切れたことで、改めて力のあるところは示してくれました」
その後は一旦、放牧へと出されて体調を整えてからの帰厩。陣営は過去2戦の小回りとはまったく違った、広いコースでのマイル重賞に挑戦することを決めた。この先を占う意味でも登竜門というべきレースへの出走は、裏を返せば大きな期待の表れでもあろう。
「調教は素晴らしく動く馬ですからね。広いコースでゆったりと走らせて、強いメンバーを相手にどういったレースができるか。前半から飛ばす形で長い直線を乗り切るのは難しいでしょうから、できればどこかでためをつくることができればいいんですけどね。とにかく自分のリズムで走らせることが大事かと思います」
松永幹調教師は今後へ向けて幅を広げるレースを期待している。鞍上は
武豊から横山和へとスイッチされるが、馬の状況に合わせて考えた騎乗をするタイプだけに、きっと新たな一面を引き出してくれるに違いない。
(石川吉行)
東京スポーツ