先週の
スプリンターズSでは「白毛一族」
ママコチャのうれしいGI初タイトル獲得がファンを歓喜させた。一方で同日に発表された全姉
ソダシの電撃引退には驚きと寂しさを禁じ得なかったが…。今後は1歳下の妹がしっかりバトンを受け継いでターフを沸かせてくれるに違いない。
そんな流れを受けて「兄弟・姉妹で活躍する血統」をテーマに今週の重賞メンバーを見渡したところ、
毎日王冠(8日=東京芝1800メートル)の
フェーングロッテンに行き着いた。1歳上の半兄は一昨年の
スプリンターズSを制した
ピクシーナイト。兄弟で主戦場はまったく異なるものの、宮本調教師が「本当に優秀なお母さん」と舌を巻いていたように、受け継いだ血のポテンシャルの高さは勝るとも劣らない。
もちろん、今年の
毎日王冠にはGI3勝(2022、23年
安田記念、23年
ヴィクトリアマイル)の
ソングラインや21年のGI・
NHKマイルC覇者で当レースの勝ち馬でもある
シュネルマイスターなど、超のつくハイレベルメンバーが集結。決して楽なレースではないが、担当の久保助手は「ウチのも引け目を感じるほどじゃない。今年に入ってから勝ち星はないとはいえ、
中山金杯で3着、その後の
金鯱賞や
鳴尾記念でも2着と走れているからね」と
ファイティングポーズを崩さない。となれば、不可解だった前走(
七夕賞14着)の敗因は?
「(ハンデ)58キロもあったにせよ、競馬にいって進んでいかなかった。暑さの影響というのも大きかったんだと思う」と力負けをキッパリ否定。酷暑が本来の走りを邪魔していたとなれば、10月に入り半袖では肌寒くなるほど気温が下がってきたのは心強い反撃材料となろう。「状態の良さは息遣いなどに出てくるんですが、今はそのあたりも悪くないですね。涼しくなってきたのは、この馬にとって間違いなくプラス。体調も上向きです」と好仕上がりをアピールしてくれた。
前々でスピードの持続力を生かすには東京開幕週の馬場は大歓迎。頼もしい兄に追いつけ、追い越せで成長してきた
フェーングロッテンには一族の存在感を一段と高めるとともに、さらに大きなステージが見えてくるような走りを期待したい。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ