２０年、史上初めて無敗で牝馬３冠に輝いたデアリングタクト（牝６歳、栗東・杉山晴）が、体部繋靱帯炎の再発で現役を引退し、繁殖入りすることが明らかになった。所属するノルマンディーオーナーズクラブが６日、ホームページで発表した。

　５日の調教後にハ行が見られ、右前肢にやや熱を持っている状態だったため、レントゲンとエコー検査を行って発覚。杉山晴師と協議した結果、現役を引退することが決まった。今後は北海道新ひだか町の岡田スタッドで繁殖入りする。

　同馬は１９年１１月に京都でデビュー。翌２０年には無傷３連勝で桜花賞を制した。さらにオークス、秋華賞を勝って史上６頭目の牝馬３冠に輝くと、その年のジャパンＣでは、アーモンドアイ、コントレイルとの３冠馬対決で３着に入った。２１年香港クイーンエリザベス２世Ｃ３着後に右前肢繋靱帯炎を発症し、約１年１カ月間休養。昨年のジャパンＣ４着がラストランとなった。

　松山弘平騎手「まずは長い間、本当にお疲れさまでした。僕にとって、デアリングタクトは間違いなく一番思い入れの深い馬です。たくさんのことを、その背中から学ばせてもらいました。貴重な経験ばかりさせてもらい、その中で人とのつながりだったり、いろいろ大切なことを彼女から教わったと思います。本当に感謝してもし切れないです。無事に繁殖入りできたことは良かったですし、これからもいい余生を過ごしてほしいです。いつか子どもに乗る機会があればいいなと思っています」

　杉山晴紀調教師「復帰に向けて牧場で乗ってもらっていましたけど、昨日以前痛めていた繋靱帯炎を再発してしまったと連絡を受けました。いずれこういう日が来るとは思っていましたが、いざ引退が決まると、胸が詰まる思いです。本当に馬には感謝していますが、感謝だけではこの馬にもらったものは言い表せません。今の厩舎をつくってくれているのも、この馬のおかげと言っても過言ではありません。この馬からもらったものをしっかり生かして結果を出して、恩返しできるように頑張っていきたいです。まずはお疲れ様ですが、繁殖牝馬としてまたいい子を産んでほしいですね」

提供：デイリースポーツ