「
秋華賞・G1」(15日、京都)
圧倒的な走りでG1を3連勝中の
リバティアイランド。ただ、最初から突出した存在だったわけではなかった。調教を担当する片山裕也助手が出会いを振り返る。
「“あれはすごい”と言われていたかもしれないですけど、他の馬もいっぱい言われていましたし、その中の1頭という感じでした。ふるいにかけたら、あの馬が飛び抜けていました。突き抜けるのはセンスが違う馬で、それがこの馬だったという感じです」
デビュー前は気性の悪さが目立っていた。競走馬として仕上げるために厳しい調整を課すと、ケンカを売ってくることもあったという。「一番悩むところでした。繊細でいて、つけ上がらせると勝手なことばかりします。怒るタイミングが難しい」と牝馬特有の難しさに手を焼いた。そこで生きたのが、かつて担当した重賞2勝の牝馬
リアアメリアなどの経験だった。
「今まで走る牝馬は怒らせずに穏やかに進めた方がいいという勘違いの中で調整をしてきましたが、それでは駄目です。怒る時は怒るし、褒める時はしっかり褒めると緩急をつけてやっています。怒る時、攻める時は男馬と変わらず厳しいことをしていますが、今は結果になっているのでこの馬には必要なのかと思っています」
池江泰郎厩舎時代に3冠馬
ディープインパクトの調教にも携わった仕上げ人は、牝馬3冠に向けた最終段階の調整に細心の注意を払う。「どこでスイッチを入れるかで、すごく左右される馬。ここ数戦でここだなというのが半分見えて半分見えないところがあります。スイッチを入れた時だけ闘争心が出るようにという段階に来ていますが、そのあたりは緊張しながら進めていく感じです」。決戦は目前。万全の準備を整え、来る大一番に臨む。
◆片山裕也(かたやま・ゆうや)1980年1月31日生まれ、43歳。大阪府枚方市出身。小学校5年で乗馬を始め、6年次に滋賀県栗東市へ。カルストン牧場、西山牧場で実務経験を積み、99年に競馬学校へ入学。2001年に栗東・
佐々木晶三厩舎に入り、池江泰郎厩舎、
千田輝彦厩舎と渡り歩き、
ディープインパクト、
タップダンスシチーなどの調教にも騎乗。15年から高校の先輩にあたる中内田師の下へ。
セリフォスなど多くの実績馬の調教を担当する。
提供:デイリースポーツ