2018年
アーモンドアイ、20年
デアリングタクトなど「牝馬3冠」を達成した名馬がそうであったように、
トライアルを挟まない
オークスからの直行ローテーションが近年のトレンドに。その背景には
秋華賞(15日=京都芝内2000メートル)から中5週の間隔で臨める
ジャパンC(しかも今年から1着賞金が5億円に増額)の存在がある。
つまり、牝馬2冠を達成できるようなポテンシャルがある馬は真の大目標は
秋華賞の後。いかに余力を残して
ジャパンCへ向かうかとなれば、
トライアルからの復帰より、直行ローテという選択に行き着くのだ。
となれば、春2冠を圧倒的なパフォーマンスで制した
リバティアイランドも絶対的な存在とは言えなくなるのでは。ただでさえ先を見据えた調整のうえに、今年の
秋華賞は3年ぶりに京都内回りという特殊な舞台設定で迎えるのだから…。
札幌芝1800メートルで全3勝を挙げている小回り巧者
ドゥーラの機動力が生きてくる舞台に思えて仕方がないのは記者だけではあるまい。前走の
クイーンSではマイナス14キロと思いのほか体重を減らしてしまったにもかかわらず、早めに外へ出してのひとマクリで歴戦の古馬たちを一蹴。自ら仕掛けて行って最後まで脚色が鈍らない競馬ぶりは、まさに京都内回りに
ジャストフィットする。
「コーナリングが上手でコーナーで加速して行けるので、小回りでコーナー4つのコース形態が合うんでしょうね。前走は鞍上が
秋華賞を意識しながら、うまく乗ってくれた。あの競馬がここでもできれば…という内容でしたね」
ドゥーラの原口助手は本番へ向けてしっかりと予行演習ができたことに手応えをつかんでいる。
「8月末に北海道から(栗東)近郊に移動してきて9月中旬に490キロ台で帰厩しました。もともと稽古時計は出る馬だけどね。前がかりなところがあったのが、前後の
バランスが良くなって軸がブレなくなりました。距離的にも1800〜2000メートルがベストの馬。この中間はしっかりと負荷をかけて調教できていますし、レースには前走から20キロ近くのプラスで出せると思います」
前回から大きな上積みを持って臨めることにも原口助手は自信を見せている。もちろん、コンビを組む斎藤もまた手応えは十分だ。
「2週前、1週前、直前と稽古に乗りました。フックラして帰ってきたし、馬体の張りも良くて、体調面は本当にいいですね。前走が着差以上に強い内容。仕掛けどころがポイントになるけど、3〜4角から動いて行って早めに先頭に立つ形なら…」
デビュー戦から手綱を取り、順調に
ステップアップしながらも…。昨年暮れの阪神JFで6着に敗れたことで
チューリップ賞(15着)、
桜花賞(14着)では戸崎圭に乗り替わり。悔しい思いをした斎藤だが、
オークスで再び手綱が戻ってくると15番人気の低評価を覆す3着好走。そして前走の
クイーンSで勝利につなげ、“
ドゥーラの主戦は
斎藤新”だと改めて結果で示した。そんな軌跡をたどった中で迎えるのがこの
秋華賞。息の合ったコンビで持ち前の機動力を存分に発揮できれば…。
リバティアイランドの牝馬3冠を阻止=人馬そろってのGI初制覇が見えてくる。
(栗東の
斎藤新密着野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ