今週は3歳クラシックロードのフィナーレを飾る
菊花賞が行われる。当然、そちらに注目が集まるが…。「若駒発掘」がモットーの当欄にとっては、その前日に行われる2歳リステッドのアイビーS(21日=東京芝1800メートル)も負けじと熱いレースなのは言うまでもない。
ソウルスターリング(16年)、
クロノジェネシス(18年)、
ドウデュース(21年)ら、後のGIホースがしのぎを削った出世レースには、今年も少数ながら精鋭がエントリーしてきた。そんな中で現在、全国リーディングのトップを快走する杉山晴厩舎が送り出す未来のスターホース候補が
レディントンだ。
「直線で外からグッと脚を伸ばしてきた。まるで古馬みたいなレースだったね」
担当の野坂助手はデビュー戦となった6月の阪神芝外1600メートル新馬戦をそう振り返る。
互角のスタートを決めた後は、内めの中団後ろでじっくり脚をためる大人びた競馬を展開。4角で鞍上の巧みなエスコートによって外に持ち出されると、最速となる34秒6の上がりでグングン伸びて差し切った。確かに“新馬らしくない走り”。ただものではないことは明らかだ。
放牧でさらなる成長を促したことで「落ち着きが出てきて、さらに大人になったかな。とにかく真面目だし、人に対しても従順です」と野坂助手は進化を実感している。
中間はウッド、坂路を併用しての調整。1週前追い切りでは経験豊富な古馬相手にも互角の動きを見せて、ウッド6ハロン82.4-11.5秒の好時計をマークしてみせた。
「(前走から)だいぶ間が空いて、帰厩した当初は緩みもありましたが、2週前追いでシャキッとさせて、1週前追いでは動いてくれました。休み明けにしてはしっかりと仕上がりましたね」
態勢が整ったことに笑顔を見せる杉山晴調教師は、距離の1ハロン延長、初の左回り、長距離輸送と課題が数ある中でも「ポテンシャル自体は通用するはずなので、条件が変わっても対応してくれれば」と無傷の2連勝への期待を隠さない。
絶好調厩舎の素質馬が期待通りの走りを見せれば、先々の展望がグッと広がることは言うまでもない。クラシック最終決戦の裏で、早くも来年のクラシックへ向けての戦いが本格化しつつある。
(明神 瑠)
東京スポーツ