「
菊花賞・G1」(22日、京都)
遅れてきた大物が最後の1冠を仕留めた。4番人気の
ドゥレッツァが未勝利戦から破竹の5連勝でG1初制覇。強力ラ
イバルのさらに上を行く、圧巻のパフォーマンスでねじ伏せた。手綱さばきが光ったルメールは16年
サトノダイヤモンド、18年
フィエールマンに続く
菊花賞3勝目。2着には2番人気のダービー馬
タスティエーラ、3着には1番人気の
皐月賞馬
ソールオリエンスが続いた。
春の2冠を分け合った2頭が23年ぶりに顔をそろえた最後の1冠。しかし、勝者は
皐月賞馬でもダービー馬でもなかった。両馬を従え先頭でゴールを駆け抜けたのは、春のクラシックでは不在だった上がり馬の
ドゥレッツァ。遅れてきた大物が淀の秋風を切り裂き、強烈なインパクトを与えた。
誰が想像できただろうか。「
フライングスタートだった。1周目は静かに騎乗したかったんだけど」とルメールも苦笑いするように大外枠から飛び出した。事前のもくろみは外れたが、すぐに“動”の競馬に切り替えた。キャリア初の逃げは、「リスクだったけど、自信はあった」と状態、能力を的確に判断した上での策だった。
2周目の向正面からはハナを譲ったが、折り合いは乱れず。勝負どころで追いだしを開始すると「パワフルス
トライド。ラスト150メートルで勝ったと思った」と鞍上が絶賛する力強い伸びでラ
イバルたちをねじ伏せた。
菊花賞3勝目となる仕事人は「いい仕事ができてうれしい」と満足そうにうなずいた。
この秋、
スルーセブンシーズが
凱旋門賞4着に入るなど勢いに乗る尾関師にとって、今回がクラシック初V。人馬の走りを称賛しつつも、あまりの驚きに「まだ夢の中というか。うれしい半面…。ちょっとまだ信じられない」とすぐにはリアクションを取れなかった。「この馬を担当してくれているスタッフがケガをして休んでいる。それでも応援に来てくれた。きょうはみんなで一緒に喜べますね」とチーム一丸での勝利をかみしめた。
今後は香港国際競走(12月10日・香港シャティン)にも登録予定。トレーナーは「まずはオーナーとの相談」と話すにとどめたが、「チャンピオンディスタンスで走っていける馬」と手応え。鞍上も「2000メートル以上の競馬で絶対にG1でいい結果を出せる」と断言する。5連勝でつかんだ菊のタイトルを引っ提げ、連勝街道をどこまでも突き進んでいく。
提供:デイリースポーツ