「
天皇賞(秋)・G1」(29日、東京)
22年ダービー以来の両馬激突に、11年ぶりの天覧競馬は大きな盛り上がりを見せそうだ。“世界No.1ホース”
イクイノックスは美浦Wで3頭併せ。大一番に向けて適度に
リラックスしつつ、抜群の気配を漂わせた。一方、同世代のダービー馬
ドウデュースは栗東坂路で快活なフットワークを披露。こちらもムードは最高潮だ。
調教スタンドが他のG1と比べても混雑していたのは、世界ランキング現役トップの秋始動戦だからこそ。ただ、美浦Wで行われた木村厩舎の調教はいつもと変わらない。主役の
イクイノックスは、朝一番の3頭併せの真ん中。ビッシリと追うのではなくて馬なり。その代わり最後までしっかり併せた。
外の
ボーデン(5歳3勝クラス)、内の
ソニックライン(2歳未勝利)の間で手応えは引っ張りきり。直線半ばで外は2馬身ほど突き放したが、内とはピッタリと馬体を併せて体を起こす。肩を柔らかく回して滑らかに加速し、6F84秒7-37秒3-11秒3の鋭さでフィニッシュした。
木村師は丁寧に意図を説明する。「トラブルなく、健康であること。基本の『基』です。注目が高いのは分かっています。であるからこそ、そこがおろそかにできない。実戦を想定して道中の折り合いとか、我慢とか、ライダーの指示に従って待つ、
ゴーサインが出ればしっかりゴールに向かって走る。普段通りできるのかというのが大きなテーマでした」。無事にクリアし、表情にも自然と安ど感がにじんだ。
平常心で臨むのが困難な状況だ。ただでさえ預かるのは“現役世界一”の名馬。ましてや今年は天覧競馬。そこで1番人気を背負う重圧は相当だろう。
「天覧競馬と聞いて、もちろん心持ちは変化します。であればこそ、しっかり、いつも通り務められるかが大切と考えています。しびれるような緊張感をプラスのエネルギーにして、期待に応えられる仕事を約束したい」。普段と同様に最善は尽くす。あとは天命を待つだけだ。
<調教診断>美浦Wで3頭併せ。栗東で調整していた
宝塚記念時も雰囲気は悪くはなかったが、前回よりも
リラックスして走れており、動きに躍動感があった印象だ。長めから乗られた1週前も、体を無理なく使い、楽に好時計をマーク。ここに向けて態勢は整った。
◆22年ダービーVTR 序盤は
デシエルトが前半5F58秒9とハイペースで逃げる縦長の展開。
ドウデュースは中団馬群の後方で、さらにその後ろに
イクイノックスが控える。直線は先に動いた
ドウデュースが残り1F過ぎで堂々と先頭に立つ。その外から
イクイノックスがメンバー最速の上がり3F33秒6の末脚で迫ったが、最後は首差で退け、2分21秒9のレースレコードで同世代7522頭の頂点に立った。
提供:デイリースポーツ