◆第168回
天皇賞・秋・G1(10月29日、東京競馬場・芝2000メートル)=10月25日、美浦トレセン
第168回
天皇賞・秋(29日、東京)の追い切りが25日、東西トレセンで行われた。G1・5連勝での連覇を狙う
イクイノックスは美浦・Wコースで追い切られ、トップのG評価を得た。前走の
宝塚記念時の栗東での追い切りも見たイシゴー(石行佑介)記者が“ホーム”での調整に死角なしと「見た」。26日に出走馬と枠順が確定する。
普段通りであれば結果はついてくる―。そう思わされた
イクイノックスの最終追い切りだった。美浦・ウッドチップコースで1000メートル67秒6―11秒3。前走の
宝塚記念と同様に当週は僚馬2頭の間に入る形。道中はバネを感じさせるいつも通りのしなやかなフットワークで折り合いもピタリとついていた。最後の直線で
ゴーサインが出されると鋭く反応し、鞍上が抑えるのに苦労するほど抜群の推進力だった。木村調教師が「通常営業」と表現した通り、この馬にとって“変わらない過程を踏むこと”が重要なのだと改めて認識した。
2週前追いが単走で、1週前(18日)にルメールが手綱を執るのは前走時と同様のパターン。
宝塚記念の際は、栗東で最終追い切りを確認したが、美浦で見ているよりやや迫力不足に映った。実際、先週の段階で主戦も「宝塚は体が少し細かった。ベストコンディションじゃなかった」とコメントしている。2走前のドバイ・シーマクラシックは3馬身半差の圧勝だったが、海外遠征からの立ち上げの難しさは想像に難くない。だが、今回は“ホーム”といえる美浦での調整過程。それだけに「今回はほとんどベスト。また体が大きくなったしパンプアップしました。心身ともに充実しています」とルメールのトーンはかなり高かった。前走以上との
ジャッジは夏場に疲れをしっかり取り除けたことの証明だろう。
レーティング129の世界NO1ホースだけに、いまや世界中がその走りに注目する
キタサンブラック産駒。トレーナーは「迎え撃つ立場とか追われる立場というのは意識していないですね」と自然体を強調したが、重圧は計り知れないものがある。さらに今回は昨年の
日本ダービーで首差敗れた
ドウデュースへのリベンジマッチという側面もある。負けられない戦いだが、順調にいつも通りのルーチンで右肩上がりに状態を上げてきた世界最強馬に死角は見当たらない。穴党の自身にとっても悩ましい週末になりそうだ。(石行 佑介)
◆ルメール「全部でめちゃくちゃ強い」
イクイノックスとG1・5連勝に挑むルメールは、栗東トレセンで取材に対応。先週、美浦・Wコースでまたがり、1200メートル78秒9―11秒8をマークした追い切りを振り返って、「時計は結構出ましたね。でも、彼にとっては楽な追い切り」と涼しげな表情を見せた。
去年の
日本ダービーで敗れた
ドウデュースとの再戦。「3歳のとき、
ドウデュースは
イクイノックスより強かった」と認めつつも、「
イクイノックスもすごく良くなりましたから、今回は違う試合」と、昨秋以降の進化に信頼を寄せる。
昨年の
天皇賞・秋は驚異の末脚を見せ、ドバイ・シーマクラシックは余裕の逃げ切り。自在な戦法を持つが、「いいスタートをしたら、前の方かミドルポジション」と展望を描く。「スピード、スタミナ、瞬発力。全部でめちゃくちゃ強い馬。この馬で勝つ自信はたくさん持っています」。
イクイノックスは、トップジョッキーが認める無敵のスーパーホースだ。
【
イクイノックスが勝てば…】
◆総獲得賞金歴代6位に 現在、歴代7位の14億8918万8100円(うち海外4億5889万100円)に
天皇賞・秋の1着賞金2億2000万円と付加賞を加え、17億1288万4100円は、
オルフェーヴル(15億7621万3000円)を抜き6位に浮上。歴代1位は
アーモンドアイの19億1526万3900円。
◆史上3頭目の連覇 81年に天皇賞馬の再挑戦が可能となり、昨年に続く秋の盾連覇なら、
シンボリクリスエス(02、03年)、
アーモンドアイ(19、20年)に続く史上3頭目。
◆G1・5連勝
グレード制導入の84年以降、G1出走機会連勝記録は
テイエムオペラオー(00年
天皇賞・春〜01年同)、
ロードカナロア(12年
スプリンターズS〜13年
香港スプリント)の6連勝が最多。5連勝なら
ナリタブライアン(93年朝日杯3歳S〜94年
有馬記念)、
タイキシャトル(97年
マイルCS〜98年同)、
アーモンドアイ(18年
桜花賞〜19年ドバイ・ターフ)に並ぶ。
スポーツ報知