東京の2歳牝馬による超出世レースG3「第12回
アルテミスS」は、
天皇賞・秋出走
イクイノックスと同じ木村師&ルメールがタッグを組んだ
チェルヴィニアが単勝1・5倍の1番人気に恥じぬ瞬発力を見せた。
秘める才能は本物。レース後の
チェルヴィニア陣営には喜びよりも安堵(あんど)の色が濃かった。木村師は「(先を見据えるなら)もう、今日のここを勝つしかなかったので」と大きく息を吐いた。
昨年、のちの3冠馬
リバティアイランド(2着)が詰まった直線は今年も馬群が凝縮。好位3番手で運んだ
チェルヴィニアもなかなかスペースを見つけられない。昨年の悪夢がよぎるが、残り250メートル付近で進路を確保。瞬時にトップスピードに乗り、最後は余裕たっぷりに駆け抜けた。ルメールは
菊花賞(
ドゥレッツァ)に続く重賞2連勝。「前走もいい競馬だったので勝つ自信があった。ちょっと我慢しなきゃいけなかったけど、凄くいい脚を使ってくれた」と明るかった。
新馬戦を2着に敗れ、前走は新潟の未勝利戦へ。楽勝に見えたが、酷暑での戦いを挟んだことで中間は慎重な調整を強いられた。それだけに、レースレコードでの重賞初勝利でポテンシャルが際立つ。
注目の今後についてだが、暮れの2歳G1への挑戦は明言されず。木村師は「来年の4月までにいい状態で持って行けたら。返し馬を見れば、距離は延びても大丈夫だと思えた」として、次走は状態、適性などを総合的に判断して決定される。わずか12回の歴史で9頭のG1馬が誕生した出世レースをクリア。名門厩舎の天才娘の未来は大きく広がった。
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チェルヴィニア 父
ハービンジャー 母チェッキーノ(母の
父キングカメハメハ)21年2月3日生まれ 牝2歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金3775万7000円 馬名の由来は
マッターホルン山麓の集落の名から
スポニチ