◆第12回
アルテミスS・G3(10月28日、東京・芝1600メートル=良)
近3年の阪神JF優勝馬を出した出世コースの2歳重賞、第12回
アルテミスS・G3は28日、東京競馬場で行われ、単勝1・5倍の圧倒的1番人気に推された
チェルヴィニア(ルメール)が1馬身3/4差で快勝を収めた。
残り200メートル。視界が開けた
チェルヴィニアは、ルメールの右ムチ2発を合図にグンと加速した。先に抜け出した
スティールブルーをあっさりパスすると、上がり最速となる33秒3の末脚でラ
イバルを置き去りに。2着の
サフィラに1馬身3/4差をつけ、単勝1・5倍の断然1番人気に応えた。鞍上は「外に出すために少し我慢しないといけなかったけど、出した時から手応えは良かった。牝馬のG1、いけると思います」と賛辞を送った。
強さだけが際立った。道中は馬群の中でしっかりと折り合い、最後の直線だけ極上の瞬発力を繰り出しての完勝。デビュー3戦目とは思えないセンスの良さも光った。ルメールは「前走もいい競馬でしたし、勝つ自信はありました」。初戦こそのちに牡馬重賞で2着に健闘した
ボンドガールに敗れたものの前走の6馬身差の圧勝劇から最大級の手応えをつかんでいた。
名牝への大きな一歩だ。近3年は
アルテミスSの1着馬か2着馬が阪神JFを勝利。20年の勝ち馬
ソダシはG1・3勝を挙げ、昨年2着の
リバティアイランドはG1・4連勝で牝馬3冠を達成した。木村調教師は「そんなに甘いものじゃないですよ」と慎重な姿勢を崩さなかったが、「派手さはないけど勝ち切ってくれて良かった」と大きな一勝に安どの表情を浮かべた。
トレーナーは戦前、「将来的には兄と一緒に厩舎を引っ張っていってもらいたい馬」と、
新潟記念覇者
ノッキングポイントを引き合いに期待を表現していた。次戦については「来年4月にいい状態に持っていければ」と明言を避けたが、来春の牝馬クラシック戦線で有力な一頭となるのは間違いない。同じタッグで臨む
天皇賞・秋の
イクイノックスにも、これ以上ない弾みがついた。(石行 佑介)
◆
チェルヴィニア 父
ハービンジャー、
母チェッキーノ(
父キングカメハメハ)。美浦・
木村哲也厩舎所属の牝2歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算3戦2勝。総獲得賞金は3775万7000円。重賞初勝利。馬主は(有)サンデーレーシング。
スポーツ報知