「
天皇賞(秋)・G1」(29日、東京)
令和初の天覧競馬を制したのは、やはりこのコンビだった。単勝1・3倍の圧倒的1番人気の支持を集めた
イクイノックスが、1分55秒2のJRAレコードで連覇を飾った。鞍上のルメールは
菊花賞の
ドゥレッツァに続く2週連続G1制覇で、異なる馬による天皇賞春秋Vも達成。“令和の盾男”は、自身5度目となる秋盾のタイトルを手中に収めた。
驚異のレコードにどよめいた府中が、一瞬静まりかえった。連覇を果たした
イクイノックスの背で、ルメールは恭しく
ヘルメットを取り、レースを観戦された天皇、皇后両陛下へ最敬礼した。05年
ヘヴンリーロマンス、12年
エイシンフラッシュに続く戦後3度目の天覧競馬。快挙をたたえた両陛下とファンの温かい拍手が、日本競馬に刻まれた新たな歴史を彩った。
他を寄せつけない走りだった。前半5F通過が57秒7。普通なら先行勢が崩れる展開を、堂々と3番手で追走した。それでも鞍上には「ちょうどいいペースと思った。全然力を使っていない」と不安はなかった。直線は滑らかに加速し、2着馬に2馬身半差の完勝。「時計を見て、ビックリしました。ラスト200メートルでターフビジョンが見えた。もう3〜4馬身あったし、
イクイノックスは疲れていなかった。勝ったと思った」。1分55秒2。11年覇者
トーセンジョーダンが出した1分56秒1を0秒9も更新するJRAレコードに驚かされたのは、ファンだけではなかった。
これで海外含めてG1・5連勝。同じ勝負服、同じコンビの最強馬
アーモンドアイと比較する声に、ルメールは素直な胸の内を明かした。「どちらが強いのかは分からない。どちらも全部持っているから。スピード、スタミナ、瞬発力。ハートも強い。
アーモンドアイは僕の家族。
イクイノックスも自分にとって大事な馬。だんだん、家族に入ってきた。世界的に有名なスーパースターになった」と誇らしげに胸を張った。
次は
アーモンドアイが2度勝っている
ジャパンC(11月26日・東京)だ。そして同馬が引退レースで勝った時と同じように、その年の3冠牝馬を迎え撃つことになる。「3冠馬は
リスペクトしなければならない。でも
イクイノックスは休み明けでもパンプアップした。レコードで勝った。次も大きなパフォーマンスができると思う」。自信は揺るぎない。この秋は世界一の相棒ともに、競馬界の先頭を走り続ける。
提供:デイリースポーツ