「
天皇賞(秋)・G1」(29日、東京)
国内のみならず、世界も注目する一戦で圧巻の走りを披露した。1番人気に支持された
イクイノックスが、1分55秒2の衝撃レコードで連覇を達成。破竹のG15連勝を決め、改めて“世界最強”の称号を誇示した。総獲得賞金額は17億1158万2100円で歴代6位に浮上。首位
アーモンドアイ超えが懸かる
ジャパンC(11月26日・東京)では、3冠牝馬
リバティアイランドとの激闘が待っている。
シンボリクリスエス、
アーモンドアイに続く史上3頭目の
天皇賞・秋連覇を達成。
イクイノックスが単勝1・3倍の断然人気に応え、重圧から解放された木村師は開口一番「ホッとしました」と胸をなで下ろした。
11年ぶりとなる天覧競馬。天皇、皇后両陛下が見守るなか、「どういう結果になろうとも、恥ずかしい仕事をするわけにはいかない」と強い覚悟を決め、スタッフ一丸となって挑んだ一戦だった。終わってみれば、ラ
イバルに影をも踏ませぬ横綱相撲。ただ、ファンがため息をつくほどの圧勝劇にも「皆さんより余裕はないですよ」と苦笑いを浮かべて胸の内を明かした。
電光掲示板には“1分55秒2”という衝撃の日本レコード。実は前日に馬場を歩き、「馬場造園家の方と“時計出るよ”と話していた」と明かす。間違いなく、
イクイノックスの脚力は素晴らしい。だが、対戦相手への敬意も忘れない。「全ての関係者の皆さんの“この天皇賞を勝つんだ”というエネルギーがそうさせた」と語気を強めた。
“世界一”を管理するプレッシャーは想像を絶する。それでも「キツいですけど…。自分でもキツいはずなのに、どうにもこうにも幸せなんです」。レース当日の朝、美浦トレセンで日の出と同時に虹が出ているのを奇跡的に見たという。「どれだけ運がいいんだ。幸せの極地」。飽くなき向上心に、勝利の女神がほほ笑んだ。
次戦は秋の最大目標と掲げる
ジャパンC。3冠牝馬
リバティアイランドとの“夢対決”が実現するが、「目の前のレースに全力を注ぐのが私の
スタイル。今回も
天皇賞・秋が最大目標と思ってやってきた。逆に、ちょっとでも隙を見せたら勝てない」と先への思いは封じた。「まずは明日、しっかりと馬を見てから」。喜びもつかの間。全力で、新たな戦いへと歩を進める。
提供:デイリースポーツ