◆ブ
リーダーズCクラシック・米G1(11月4日、サンタ
アニタパーク競馬場)
JRA馬券発売対象の米競馬の祭典ブ
リーダーズC(3、4日=日本時間4、5日早朝、サンタ
アニタパーク競馬場)が行われる。
ウシュバテソーロを生産した名門・千代田牧場(北海道新ひだか町)は、
ワールドハヤブサに代表される自家牝系を大切に育てながら、海外から繁殖牝馬の導入にも積極的に取り組んできた。
祖
母シジェームサンは、現役時代に
サンゴルゴニオH・米G2など芝で重賞3勝を挙げて、飯田正剛代表が繁殖牝馬として97年のキーンランドノベンバーセールで75万米ドルで購入した。5代母
バイユーから広がった一族は、国内外で大きく発展している。
「もともとフランスからトレードされた馬で、日本の芝でと思って期待して導入しました。黒鹿毛の大きな馬でしたが、その3代母に
バイユーがいるなど血統の裏付けがある点も評価しましたね」
シジェームサンは03年の
東京新聞杯を制した
ボールドブライアンなどの重賞ウィナーを送り出し、
キングカメハメハとの間に生まれた8番子が
母ミルフィアタッチだった。現役時はダートで3勝を挙げたが、芝での活躍をイメージして
オルフェーヴルを15、16年と2年連続で種付けした。
「実は1つ上の
ミヤジハヤカゼが、すごく筋肉量のある、いい馬だったんです。屈腱炎で活躍はできませんでしたが。それで次の年も続けて
オルフェーヴルを付けて生まれたのが
ウシュバテソーロです。父は3冠を取ったし、皆がいい繁殖牝馬に付けていましたからね」
19年8月のデビューから芝で走ってきたが、昨春にダート路線に転向すると一気に本格化した。
ブラジルCから一気の6連勝。ドバイ・ワールドCを勝つなど一躍世界
トップレベルに上り詰めた。
「私は芝だと思っていましたが、今週は世界最高峰のブ
リーダーズCクラシックへ行くのですからね。キンカメが効いていると思うし、(その父の父で米国の大種牡馬の)ミスタープロ
スペクターが母国に呼び戻したんじゃないかな。ここまで負けないのは大変なことで、高木(登調教師)も痩せるんじゃない(笑い)。彼は同じ大学(麻布獣医科大、現麻布大)の後輩なんだけど、助手の深見(正和)さんも含めて、高木厩舎はよくやってくれていると思います」
80年近い歴史を誇る名門牧場が、信念で紡ぎ出した夢の結晶。「ぜひ、ここまできたら勝ってほしいね」。手塩にかけた血統へ注いだ愛情が、大輪の花を咲かせる日がやって来る。(坂本 達洋)
◆千代田牧場 1945年に祖父・武氏が千葉県山武郡千代田村(現芝山町)に開場。66年に静内牧場を開場して、生産拠点を北海道に移す。主なG1勝ち馬(
グレード制導入後の84年以降)は、
ニッポーテイオー(87年
天皇賞・秋、
マイルCS、88年
安田記念)、
タレンティドガール(87年
エリザベス女王杯)、
スマイルトゥモロー(02年
オークス)、
ピースオブワールド(02年阪神JF)、
ホエールキャプチャ(12年
ヴィクトリアマイル)、
ダノンプラチナ(14年
朝日杯FS)、
サークルオブライフ(21年阪神JF)。
スポーツ報知