「ひと夏を越えて、ひと回り体重が増えていたのはいい傾向。もともとダートで戦うには500キロオーバーは欲しいなと思っていましたから。この体つきを維持できていければいいですね」
タイセイドレフォンの秋初戦をそう振り返ったのは担当の山田助手。その
太秦Sは好位で流れに乗ると、直線でジワジワと脚を伸ばして0秒2差2着。5か月ぶりの実戦ながら、能力の一端は十分に見せてくれたようにも思えるが…。
「重賞を勝つにはひと皮むけないと」。GIII
みやこS(11月5日=京都ダート1800メートル)を前にして突き破らなければならない課題があることも隠さない。
昨夏の世代限定重賞
レパードSではクビ差2着とタイトルに肉薄したものの、古馬との戦いとなった秋の
みやこSは5着、
浦和記念では6着、そして今春の
平安Sも4着…。確かに重賞の舞台ではもうひと押しが足りない競馬が続いている。重賞を勝つためには具体的に何が足りないのか?
「競馬に行って全体的にモサッとしているんですよ。もともとピリッとしているタイプではないにしても、もっと勝負どころで反応良くビュッと行ってほしいんですよね」
悲願の重賞タイトル奪取へ向けて、何とかしたい気持ちは中間の調整内容にもよく表れている。中2週で臨む一戦ながら、1週前追い切りでは団野を背にウッドで
スティーロポリス(古馬1勝クラス)との併せ馬を敢行。最後は一杯に追われ、6ハロン86.5-11.5秒と鋭い伸び脚を繰り出してみせた。これには鞍上も「いつも調教はそこまで動くタイプではないんですけどね。この馬にしては動いていました」と驚きの顔を見せていた。
補足するように山田助手は「前走時はレース当週に2歳馬と併せて遅れてたくらいなんですよね。それでも競馬では走ってくれたんですけど」と振り返った後に「1回使ったことで雰囲気が良くなったのは確かですね。普段の様子を見ていても、馬の気持ちが乗っていると感じます」と中間の充実ぶりをアピールしてくれた。
京都コースへの出走は連続4走目。1→4→2着と安定した成績を残せているのは「3〜4角で勢いをつけて、そのままスピードに乗って行ける直線が平坦の京都は合っているんですよね。春に(平城京Sを)勝ってますし、あの時のような感じで好位から上がって行けるようなら」。
ひと夏を越えてたくましい体つきに成長し、順調に上昇曲線を描いている今の
タイセイドレフォンなら…。ベスト舞台での初重賞タイトル奪取はそう難しいミッションにはならないのでは。
(栗東の二代目野郎・明神瑠)
東京スポーツ