「西高東低」という言葉を目にする機会が減った昨今の競馬界だが、こと新馬戦絡みの動向に注目すると、まだまだ変わってはいないような…。というのも関西馬が関東圏に東上して勝つケースに比べ、その逆は圧倒的に少ないからだ。
先週土曜(4日)の東京芝1800メートル新馬戦で唯一の関西馬
シンエンペラーが3馬身差圧勝を飾ったシーンはその象徴とも言えようか。そういう意味では日曜(12日)の京都芝内2000メートル新馬戦に関東馬
アドミラルシップ(牡=父
ゴールドシップ、
母ヴィーヴァブーケ・相沢)が西下して臨むチャレンジには大いに注目したいところだ。
京都を選択したのは同日の
エリザベス女王杯に出走する半姉
ライラックに帯同する意味合いもあるにしても…。相手関係、長距離輸送など、もろもろの条件が厳しくなる関西圏のレースを初戦に選択したのは相応のポテンシャルを感じているからこそ。この厩舎ゆかりの血統馬に対して相沢調教師からは「
ライラックよりも上だったら大変だけどね(笑い)。もしかしたら過去最高かもしれない。とにかく乗り味がすごくいいんだ。うるさい面も見せないし、この距離も魅力。殴り込みに行きますよ」と絶大な評価が送られている。
実際、1週前追い切りでは南ウッドで
グリューネグリーンを相手に馬なりのまま追走先着(6ハロン82.6-11.6秒)。重賞勝ち馬相手に優勢の動きなら、初戦Vに当確ランプがともるレベルにあることは間違いあるまい。
ちなみに姉
ライラックは新馬勝ち直後に
京都2歳Sへ遠征して8着に大敗した苦い経験が…。馬運車に乗り込むのを嫌がり、10キロ減の馬体重で出走するなど、極度のイレ込みが抜けずじまいだった。
アドミラルシップはその点を考慮して、事前にしっかり馬運車に乗る練習をするという。
姉弟を担当する三尾助手は「どっちも扱いやすくて、父がオルフェ(ーヴル)とゴルシでも(母である)
ヴィーヴァブーケのいいところが出ていますね。ただ牧場からの報告書にも(馬運車に乗る際の問題が)少し記してあった。
ライラックのこともあるので、ちゃんと練習して臨みます」。
この姉弟2頭は馬房も隣り合わせ。目元などはなるほど姉弟と思わせる。もちろん、お互いが姉弟と認識している様子はなく、「分かるならこっちは苦労しません」と三尾助手は笑うが…。果たして姉に追い付け、追い越せの走りができるのか、日曜京都は姉弟の走りに注目してほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ