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エリザベス女王杯で娘が激突 ジェンティルドンナとヴィルシーナの大接戦/12年秋華賞

  • 2023年11月08日(水) 19時15分
 11月12日(日)に京都競馬場で行われるエリザベス女王杯(3歳上牝・GI・芝2200m)。今年は15頭が出走を予定しているが、中でもジェラルディーナディヴィーナの対決は見どころのひとつだろう。両者は同世代かつ、同じモーリス産駒で、何より母がライバル同士という関係。本稿では娘たちの対決を前に、母2頭が激突した秋華賞を振り返ってみたい。

■最後の一冠の行方

 桜花賞は半馬身差、オークスは5馬身差。ジェンティルドンナヴィルシーナの差は少しずつひらいていった。秋初戦となったローズSでもジェンティルドンナが先着と、同馬は三冠に向かってまっしぐら。一方のヴィルシーナは3度目の正直ならず、またもや悔しい2着。秋華賞での巻き返しを改めて誓った。

 “トリッキー”な京都内回りの芝2000m。差し脚が持ち味のジェンティルドンナにとって、“それ”は気がかりだった。だが、ヴィルシーナは“それ”を生かして、大胆にもキャリア初の逃げ戦法。スタートすると激しく気合を付けてハナに立ち、ジェンティルドンナとのリードを取ることを選んだ。思い切った作戦は大敗のリスクも潜むが、全てはGIタイトル獲得のため。そして、打倒ジェンティルドンナのためであった。

 先手を取ったヴィルシーナはスピードを抑えて脚を溜め、伏兵のマクリにも動じず2番手で運ぶ。一方のジェンティルドンナは中団の8、9番手を追走。2頭は自分のペースを守りながら、仕掛けどころをうかがう。3コーナーを過ぎ、4コーナーの中間。先に待ち構える短い直線を見越し、両馬は徐々にエンジンをふかしていく。

 直線に入るとヴィルシーナが突き放しにかかるが、またもやジェンティルドンナが接近。だが、オークスほど突き抜ける気配はなく、激しい叩き合いとなった。ジェンティルドンナが出たようにも、ヴィルシーナが差し返したようにも見え、最後は「全く並んでゴールイン!」。結末は写真判定に持ち越されたが、結果はジェンティルドンナがハナ差制していた。ヴィルシーナは三冠全てが2着。ライバルの快挙を最も近くで見届けることになったが、好敵手として三冠戦線を大いに盛り上げたのだった。

 くっきり明暗分かれた両者だが、古馬になってからも大活躍し、ジェンティルドンナは通算でGI・7勝、ヴィルシーナはヴィクトリアMを連覇。引退後は繁殖入りし、子どもに夢の続きを託している。今年のエリザベス女王杯は娘同士が初対決。どういった結末を迎えるだろう。ジェラルディーナが母譲りの末脚で連覇か、ディヴィーナが母譲りのしぶとさでGI初制覇を飾るか。それとも……。母の姿を娘に重ねて──。今週末のエリザベス女王杯は、血統のドラマにも注目したい。

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