11月12日(日)に京都競馬場で行われる
エリザベス女王杯(3歳上牝・GI・芝2200m)。今年は15頭が出走を予定しているが、中でも
ジェラルディーナと
ディヴィーナの対決は見どころのひとつだろう。両者は同世代かつ、同じ
モーリス産駒で、何より母がラ
イバル同士という関係。本稿では娘たちの対決を前に、母2頭が激突した
秋華賞を振り返ってみたい。
■最後の一冠の行方
桜花賞は半馬身差、
オークスは5馬身差。
ジェンティルドンナと
ヴィルシーナの差は少しずつひらいていった。秋初戦となった
ローズSでも
ジェンティルドンナが先着と、同馬は三冠に向かってまっしぐら。一方の
ヴィルシーナは3度目の正直ならず、またもや悔しい2着。
秋華賞での巻き返しを改めて誓った。
“ト
リッキー”な京都内回りの芝2000m。差し脚が持ち味の
ジェンティルドンナにとって、“それ”は気がかりだった。だが、
ヴィルシーナは“それ”を生かして、大胆にもキャリア初の逃げ戦法。スタートすると激しく気合を付けてハナに立ち、
ジェンティルドンナとのリードを取ることを選んだ。思い切った作戦は大敗のリスクも潜むが、全てはGIタイトル獲得のため。そして、打倒
ジェンティルドンナのためであった。
先手を取った
ヴィルシーナはスピードを抑えて脚を溜め、伏兵のマクリにも動じず2番手で運ぶ。一方の
ジェンティルドンナは中団の8、9番手を追走。2頭は自分のペースを守りながら、仕掛けどころをうかがう。3コーナーを過ぎ、4コーナーの中間。先に待ち構える短い直線を見越し、両馬は徐々にエンジンをふかしていく。
直線に入ると
ヴィルシーナが突き放しにかかるが、またもや
ジェンティルドンナが接近。だが、
オークスほど突き抜ける気配はなく、激しい叩き合いとなった。
ジェンティルドンナが出たようにも、
ヴィルシーナが差し返したようにも見え、最後は「全く並んでゴールイン!」。結末は写真判定に持ち越されたが、結果は
ジェンティルドンナがハナ差制していた。
ヴィルシーナは三冠全てが2着。ラ
イバルの快挙を最も近くで見届けることになったが、好敵手として三冠戦線を大いに盛り上げたのだった。
くっきり明暗分かれた両者だが、古馬になってからも大活躍し、
ジェンティルドンナは通算でGI・7勝、
ヴィルシーナはヴィクトリアMを連覇。引退後は繁殖入りし、子どもに夢の続きを託している。今年の
エリザベス女王杯は娘同士が初対決。どういった結末を迎えるだろう。
ジェラルディーナが母譲りの末脚で連覇か、
ディヴィーナが母譲りのしぶとさでGI初制覇を飾るか。それとも……。母の姿を娘に重ねて──。今週末の
エリザベス女王杯は、血統のドラマにも注目したい。