栗東坂路で鋭かったのが
ハーパー。同期の3冠馬
リバティアイランドのいない一戦で、待望のG1タイトルを目指す。
全解放だ。
ハーパーの前に立ちふさがっていた強大な壁がすっかり取り払われたような、解放感すら感じさせた最終追いだった。
友道流の仕上げは坂路でサッと流すのみ。4F55秒4〜1F12秒5程度の遅い時計だが、単走ながら柔らかいフットワーク。いかにも切れる馬の軽快な脚さばきに、状態の良さがはっきりと感じ取れた。前走の
秋華賞は
オークス以来の休養明け。仕上がりは良かったが軽快さが違う。
「今朝はしまいだけ反応を見て、1Fだけやりました。助手の話では“いい感じだった”と。前走からまだ3週間しかたってませんが、ひと回り大きくなった感じがしますね」
そう話す友道師は深謀遠慮の知将。狙いを定めたレースは必ず仕留める。
桜花賞4着、
オークス2着、
秋華賞3着と3冠路線では苦汁をなめさせられたが、ハナから勝負は“鬼”のいない
エリザベス女王杯ではなかったか。
秋華賞を叩き、中3週で女王杯へは青写真通り。
リバティアイランドが
ジャパンCに向かうこともある程度読めていた。相手関係に加え、舞台は京都の内回り2000メートルから外回り2200メートルに大きく好転する。友道師が
秋華賞を振り返る。
「前走は内枠に京都の内回りで窮屈なところに入って、なかなか自分のリズムで走れず、その分、最後の伸びを欠いた。今回は外回りの広いコース。長くいい脚を使うこの馬にはいいコース。下り坂を利用して最後に伸びて来てほしい」と自信を持って送り出す。
鞍上はラ
イバルの主戦を務めてきた川田。皮肉な話だが、2月の
クイーンCで
ハーパーを重賞Vに導き、彼女の個性と高性能を知る。この中間手綱を取ることはなかったが、「当日またがって、どう変化があるか確認したい」と胸を躍らせていた。うれしい“変化”は勝利インタビューでたっぷり語ってもらおう。
スポニチ