◆第48回
エリザベス女王杯・G1(11月12日、京都・芝2200メートル)追い切り=11月9日、栗東トレセン
第48回
エリザベス女王杯・G1(12日、京都)の出走馬が9日に確定した。史上5頭目の連覇を狙う
ジェラルディーナはメンバー15頭で唯一の木曜追い切り。滋賀・栗東トレーニングセンターのCWコースで頭差遅れも陣営は「しっかりと体を使えていた」と納得の動き。同馬の父母に騎乗しG1計6勝を挙げたライアン・ムーア騎手と初コンビで女王の力を示す。10日に枠順が決まる。
地味に見えても実はスゴい。昨年の覇者、
ジェラルディーナの注目の最終追いは、団野(レースはムーア)が騎乗して栗東・CWコースで併せ馬。
セッション(3歳オープン)を1200メートルで1秒6、大きく先行。直線で内から並びかけられると、団野の手が動くが、なかなか加速し切れず頭差遅れてのフィニッシュ。時計は1200メートル86秒3―11秒4。エンジンがかかる前にゴールしたもので、気にする必要は全くない。
見守った斉藤崇調教師は「エンジンのかかりが遅い部分はあったが、しっかりと体を使えていた」と納得していた。昨年は水曜に最終追い切りをしたが、今年はメンバーでただ1頭の木曜追い切りに。全休日明けの火曜の調教を軽く抑え、水曜、木曜と緩やかに負荷レベルを上げていく。5歳秋のベテラン牝馬が疲れを本番に残さず、最高のパフォーマンスを発揮するためには満点と言っていい最終デモだった。
全体時計が遅いと感じる人も多いだろうが、
ジェラルディーナはこれでいい。昨年勝った
エリザベス女王杯の最終追い切りは1200メートル85秒9。3着だった
有馬記念は同86秒0。
イクイノックスと0秒2差で4着の
宝塚記念は1000メートル72秒4。タイムは控えめでも、しっかり走ってきた。これは、勝負をかけるルーチンなのだ。
舞台は昨年の阪神内回りから、京都の外回りに替わる。「(勝負どころで)ずぶくなるが、坂の下りをうまく利用できたら。この馬の競馬をすれば、結果はついてくる」と指揮官は力を込めた。G17勝の偉大な母、
ジェンティルドンナは5歳で
有馬記念を勝って引退。父
モーリスと母の両方でG1を勝ったムーアを背に、5歳になった娘が連覇を視界に入れた。(山下 優)
◆昨年の
エリザベス女王杯 牝馬3冠の
デアリングタクト、
秋華賞を勝った
スタニングローズ、愛
オークス馬
マジカルラグーンなどが出走。中団後方にいた
ジェラルディーナが重馬場を苦にせず、直線で大外から突き抜けてG1初制覇を飾った。鞍上は短期免許のCデムーロ。2着は同じく短期免許のレーンが乗った
ウインマリリンと、
ライラックが同着で分け合った。ここ5年で短期免許の外国人騎手が3勝を挙げている。
◆初タッグ「楽しみ」
今週から短期免許で来日するライアン・ムーア騎手(40)=英国=が9日、連覇がかかる
ジェラルディーナとの初タッグへ胸を躍らせた。
父
モーリスとは16年の
香港カップや
天皇賞・秋などで国内外G14勝を挙げ、
母ジェンティルドンナとは14年のドバイ・シーマクラシックや13年の
ジャパンCを制している。この日は手続きのため茨城・美浦トレセンを訪れ、「自分がG1で結果を出した馬の子に乗れるのは特別な思いがある。去年の映像も見ているし、日曜が楽しみ」と笑みを浮かべた。
先週、米国で行われたブ
リーダーズCターフでは、
ディープインパクト産駒の
オーギュストロダンを勝利へ導いた。その際に直線でのムチの使用について、過怠金と11月12日の騎乗停止処分(1日)を受けた。だが、同騎手から不服申し立てを受けたHISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)から、裁定結果が出るまで処分保留とする旨の通知があったため、
JRAは12日の騎乗を認めた。裁定結果が出た後に改めて
JRAでの処分を決定する方向だ。
スポーツ報知