JRA歴代1位の障害257勝を挙げた熊沢重文騎手=栗東・フリー=の引退式が11日、京都競馬場で全レース終了後に行われた。熊沢は91年の
有馬記念を勝った
ダイユウサクの勝負服姿で登場。「それで来たか〜」とオールドファンを喜ばせた。同馬の馬主関係者、同期の松永幹調教師らから花束を贈られ、「よくここまでやってこれた」と穏やかな笑みを浮かべた。
デビュー2年目から障害レースに騎乗。
有馬記念など平地G13勝に続いて12年の
中山大障害を
マーベラスカイザーで制し、
JRA史上初となる平地&障害双方のG1制覇を成し遂げた。一方で度重なるけがにも見舞われ、昨年2月に小倉で落馬して首を骨折。「頸椎がボルト1本で止まってるだけ。激しい運動は自殺行為」との
ドクターストップに、引退を決意した。「騎手でいたい気持ちはすごく強いけど、それを差し引いても命が一番大事だからね」と、やり切った表情を見せた。
8R・
京都JSの本馬場入場時には、誘導馬に乗って登場。「すごくいい経験。気持ち良かった」と吹っ切れたような笑顔を見せた。今後はノープラン。報道陣に「いい仕事あったら紹介して(笑い)。予想を一つの楽しみにしても」とおどけた。「寂しいけど、やり残したことはほぼない」。一度も涙を見せず、さわやかに別れを告げた。
スポーツ報知