春のマイル戦線の主役といえば?
ソングラインで満場一致となろう。
ヴィクトリアマイル→
安田記念と連勝。後者は連覇のおまけ付きだった。その不動の主役が米国遠征を選択したことで不在。ならば何度となく好勝負を演じてきた「同期のラ
イバル」
シュネルマイスターが、
マイルチャンピオンシップ(19日=京都・芝外1600メートル)のV候補筆頭に浮上するのは自然の流れと言えようか。
3歳春の
NHKマイルCで早々にGIタイトルを手にしながらも、その後はGII・2勝に甘んじている。すでに5歳秋とキャリアが最終盤に近づきつつあるとなれば、もう取りこぼしは許されない。
一方で
シュネルマイスターに付いて回るのが、管理する手塚調教師もしばしば言及する「体重問題」。もうひと絞りできていれば届いていたタイトルが過去にはあった? 2つ目のGIタイトル奪取への絶好機の今回は? 担当の名畑助手は2週前の時点での馬体重が508キロだったことを明かしたうえで、こう言葉を続けた。
「もともと腹回りがボテッと見えるため、負けると重め残りをよく指摘されますが、敗因はそこではないと思っています。ちゃんと走れていれば、数字は気にしません。この馬の場合は、体重うんぬんより、いかに進路を確保して、スムーズに走らせられるか。そこに尽きると思っています」
秋初戦の
毎日王冠は休養前から10キロ増での出走。結果だけ見れば、太め残りの分の3着とできなくはないが…。レースを振り返れば、ハッキリとした別の敗因が見えてくる。最内枠スタートから直線でも思うように内が空かず、名手ルメールにしては珍しく、外に出すのにかなり手間取っていた。ゴール前の脚色は一番。脚を余しての敗戦だったのは明らかだ。
年齢を重ねたことで、加速にやや時間を要するようになった印象はあるにしても、ギアが上がってからのトップスピードは現役屈指の存在として異論はあるまい。
「勝負どころで置かれがちなのは確かですが、春の
マイラーズCを勝利した時のように、京都では3角の下り坂を利用して、そこをカバーできるのが大きいですね」(名畑助手)
その
マイラーズC時同様、今回も栗東滞在を選択。当時は14キロ減の馬体での出走となったが…。
「あれは意図的に絞ったわけではないんです。(出張)馬房が1頭だけになるアク
シデントがあったことでカイ食いが悪くなって減ってしまっただけ。何度も言ってるように数字(馬体重)は気にしていません」
毎日、付き添っている名畑助手が気にしていないのなら、我々も
シュネルマイスターの馬体重に一喜一憂するのは、もうやめようではないか。
「もう一つ大きいところを取らせてあげたいですね。それだけの力はある馬ですから」と栗東へ移動する前、そう力を込めていた名畑助手。久々に
シュネルマイスターがGIを制するシーンが見られそうな予感がしている。
(美浦のビッグ野郎・垰野忠彦)
東京スポーツ