翌年のクラシックを占う意味で、GII東京スポーツ杯2歳S(18日=東京・芝1800メートル)がいかに重要なレースかは、もはや説明不要だろう。今年も数多くのエリート候補生がエントリーする中、当欄はあえて“挫折”を味わっている
ガイアメンテに注目してみた。
8月の札幌・芝1800メートル新馬戦では、番手から直線で楽々と抜け出して2馬身差の完勝。手綱を取った
武豊がその素質を絶賛したことで、これ以上ない華々しいデビューとなったのだが…。続くGIII
札幌2歳Sでは、1番人気に支持されながらも6着に敗れたことで一気に暗転した。
「イレ込んでいたね。パドックもそうだし、輪乗り、ゲートの中でも
テンションが上がりまくっていた。もともと、そういう気配はあったけど…」と苦い表情で振り返ったのは
武豊。2戦目にして早くも課題があらわに。同時に「いかにして競馬で
テンションを上げないようにするか」に重点を置いた調教メニューに心血が注がれ始めた。
真っ先に取り入れたのは「プール調教」。担当の榎本助手によると「引っ張って(プールに)連れて行くと、瞬間的にカッとなってましたけどね。慣れてしまったみたいなので、もういいかなと。今はもうプール調教はやっていません」。
もともとプール調教を新たに取り入れたのは「普段しないことをする、
イレギュラーな環境に慣れてほしい」意図があった。ゆえに「慣れてしまった」という榎本助手の言葉にマイナスな意味は含まれておらず、むしろ課題克服に向けて一歩、前進したことを意味する。それゆえの“プールからの卒業”なのだ。
とはいえ、「乗り出してからも周りの音を気にしたり、ふとした時に力んだりするところがあって…」課題のすべてを克服したとは言い難い状況。ゆえに次なる一手に打って出る。それが「メンコの着用」である。
「攻め馬の時もおとなしくこなしてくれていますね。ちょっとずつですが、
リラックスする時間をつくれているような…。効果は確実に出ていると思いますよ」
前走で“挫折”を味わったからこそ見えた課題。そこにしっかりと向き合った陣営の創意工夫を経て、
ガイアメンテは課題を克服しつつある。
「キャンターへ行く時に緩さを感じていても、実際に動かせてみれば、しっかり動いてくれる。大した馬だなと思いますね。跳びが大きいので、小回り札幌から中央の広い馬場に替わるのはいいと思います。能力は確かなので巻き返してほしいですね」(榎本助手)
進化した今の
ガイアメンテなら…。クラシックへと続く道のド真ん中に、返り咲いてくれるのではなかろうか。
(明神 瑠)
東京スポーツ