◆第40回
マイルCS・G1(11月19日、京都競馬場・芝1600メートル)
第40回
マイルCS・G1(19日、京都)では、前走の
富士Sで復活の重賞2勝目を挙げた牝馬
ナミュールが、G1級レースで史上9度目の紅一点制覇に挑戦する。過去8度は
エアグルーヴ、
ウオッカ、
アーモンドアイなど名牝がズラリ。世界的名手ライアン・ムーア騎手(40)=英国=を新たな鞍上に迎え、歴史的快挙に挑む。
紅一点の
ナミュールが満を持して
ビッグタイトル奪取に挑む。昨年の牝馬3冠すべてに参戦するなど、G1の壁に7度もはね返されてきた悔しさを晴らす舞台が巡ってきた。「G1でもいろいろな距離で2、3、4、5着がありますからね。あとは1着を頑張って目指して、いい競馬をしてほしい」。高野調教師は並々ならぬ願いを込めた。
牡馬相手に通用する力は、前哨戦の
富士Sで実証した。道中は中団に待機し、直線でため込んだ
パワーを爆発。力強く馬群を割って上がり33秒8(メンバー2位)の末脚で差し切り、レースレコードの1分31秒4を叩き出した。「前走は狭いところでも自分から割ってきましたしね。状態がいいから、ああいうレースもできるんだと思います」。昨年の
富士Sの勝ち馬で、
マイルCSも連勝した
セリフォスを0秒6も上回る好タイムなら、本番へ期待は膨らむばかりだ。
体質の強化も顕著だ。3歳春は430キロ前後で馬体減の心配がつきまとったが、ここにきて不安も解消。前走はデビュー後、最も重い454キロでの出走だった。この日は栗東・CWコースをキャンターで周回。ボリュームのある馬体を維持できているのは成長の証しだ。「以前のように(馬体重が)空気に溶けていくような恐怖との戦いはなくなった」と高野師。「体力がついたんでしょうね。体がしっかりして、昔と馬が違うので調整しやすい」とうなずく。不利などもあって不完全燃焼に終わった春2戦(
ヴィクトリアマイル7着、
安田記念16着)の借りを返す準備は整ってきている。
過去のG1級レースで出走馬中唯一の牝馬が優勝したのは過去8度(7頭)。71年に牝馬初の
年度代表馬に選出された
トウメイや07年に牝馬64年ぶりの
日本ダービー制覇を果たした
ウオッカ、芝G1最多9勝の
アーモンドアイと、歴史的名馬が並ぶ。しかも手綱を執るのは15年
マイルCS(
モーリス)など
JRA・G1でも9勝の名手ムーアだ。「いい状態なら、ちゃんと走ってくれる馬ですからね」と指揮官。並み居る牡馬を蹴散らし、
ナミュールが名牝への道を切り開く。(戸田 和彦)
スポーツ報知