一般に馴染みは薄いが、11月24日は「オペラの日」だ。1894年の11月24日、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)の奏楽堂で、明治以降では日本初のオペラが上演されたことに由来している。そこで、この機会に「オペラ」と名の付く名馬を振り返ってみたい。
最初に取り上げるべきは満場一致で
テイエムオペラオーだろう。全26戦で
和田竜二騎手が騎乗。99年牡馬クラシックでは
アドマイヤベガ、
ナリタトップロードと共に3強を形成し、
皐月賞を制覇。00年には
天皇賞(春)、
宝塚記念、
天皇賞(秋)、
ジャパンC、
有馬記念を含む年間8戦全勝、年間記録としては史上最多となるGI5勝を挙げて、
年度代表馬に満票で選出された。同時に「世紀末覇王」という異名も定着することとなる。
さらに01年には
天皇賞(春)を連覇し、当時の最多タイ記録となるGI7勝を達成。総獲得賞金は当時の世界最高となる18億3518万9000円に達した。40代以上には「オペラを生で観たことはなくても、オペラオーは生で見た!」という競馬ファンが多くいるに違いない。
この流れで
テイエムオペラオーの父である
オペラハウスに触れたい。英国産で現役時代は18戦8勝。93年にコロネーションC、
エクリプスS、
キングジョージVI世&
クイーンエリザベスSを制し、同年のカルティエ賞最優秀古馬に選ばれた。現役引退後は日本軽種馬協会にスタッドイン。日本で不振だった
サドラーズウェルズ系としては飛び抜けた成功を収め、
テイエムオペラオーの他にも芝で
メイショウサムソン、ダートで
ニホンピロジュピタ、障害で
マジェスティバイオ、
スプリングゲントと多くのGI、Jpn1勝ち馬を輩出。
産駒の出来にバラツキはあったものの、
トップレベルまで上り詰めた馬は、当時の御三家と言われた
サンデーサイレンス、
ブライアンズタイム、
トニービンの産駒と五分の戦いを演じた。また、
オペラハウス産駒からは
ミラクルオペラ、
オペラシチー、
カリスマサンオペラなど、オペラと名の付く活躍馬も多く出た。そういった意味で「オペラ軍団」の勢力拡大に大きく貢献した種牡馬といえる。
ある意味で
テイエムオペラオー以上のインパクトを残したのは、地方で一時代を築いた
メイセイオペラだ。水沢所属で99年の
フェブラリーSを制覇。これは未だに日本競馬史上唯一となる地方馬の
JRA・GI制覇となっている。他にも98年の
南部杯、99年の
帝王賞を制するなど、同じく地方所属で2つ年上の
アブクマポーロとともに
JRA勢と五分に戦い、絶大な人気を集めた。
ちなみに
メイセイオペラと同じ
グランドオペラ産駒には、95年
川崎記念など重賞10勝を挙げた
アマゾンオペラなど、他にもオペラと名の付く地方重賞ウイナーが多数いる。
オペラハウス系に次ぐ「オペラ系」として、
グランドオペラ系も覚えておきたい。
最後に現役馬に触れておこう。意外かもしれないが、現役でオペラと名の付く馬は
ベラジオオペラ(牡3、栗東・
上村洋行厩舎)、
オペラプラージュ(牡2、栗東・
新谷功一厩舎)、
マルカオペラ(牝2、栗東・
浜田多実雄厩舎)の3頭しかいない。もちろんエースは今年の
スプリングS覇者の
ベラジオオペラ。近年不振だった「オペラ軍」に久しぶりに登場した大器。
日本ダービー4着後は休養しているが、12月の
チャレンジCで復帰予定。01年
天皇賞(春)の
テイエムオペラオー以来となる「オペラ軍」のGI制覇も夢ではないだろう。
また、デビュー戦を快勝した
オペラプラージュ、未勝利卒業にメドを立てている
マルカオペラの2歳2頭も先々が楽しみな馬。オペラの日を機会として、3頭の今後に是非とも注目してほしい。