◆第43回
ジャパンC・G1(11月26日、東京競馬場・芝2400メートル)
自らの決断が6年後、最高峰のG1挑戦という形で実を結んだ。地方の兵庫競馬から
ジャパンCに初参戦となる
チェスナットコート。17年4月に
地方競馬の調教師免許を取得した
田中一巧調教師は「いつか全国区で活躍できる馬をつくりたい」との思いで、開業前に研修先に選んだのが栗東・矢作厩舎だった。
父から始まった縁で「矢作さんと父(
田中範雄調教師)は交流があり、顔を合わせたことがあります」。矢作厩舎に当時、所属していた池田康宏厩務員(今年9月に定年)を通じて師に連絡し4週間、名伯楽の元で学んだ。その間に
チェスナットコートを担当。甲武特別で勝利の瞬間に立ち合い、思い入れの深い馬となった。
今年に入って前オーナーが手放すことを知り、現オーナーの藤田卓也氏に頼んで購入してもらった。田中師は「矢作調教師に(SNSで)連絡したら、『!』スタンプが戻ってきました」と笑う。前走の
オールカマーに続く
JRA挑戦に「芝向きで、その走りを全うさせたいんです」と熱がこもる。
パンサラッサで臨む矢作師との激突に、「こんな大舞台で一緒に出走できるなんて幸せなこと」と日曜が待ち切れない様子。こん身の仕上げで挑み、恩返しをする。(蔵田 成樹)
◆田中 一巧(たなか・いっこお)1981年11月24日、兵庫県生まれの41歳。祖父の代から続く競馬一家で、父は兵庫県最多勝記録(2135勝)を現在も更新中の
田中範雄調教師。父の元で厩務員、調教師補佐として活躍し、17年4月に地方の調教師免許を取得。通算302勝(21日現在)。
スポーツ報知