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85年ジャパンC2着…地方からの刺客ロッキータイガー 桑島孝春氏が語る「思い出」と「地方馬の世界への挑戦」

  • 2023年11月24日(金) 17時30分
 秋競馬のハイライトともいえるジャパンカップ(3歳上・GI・芝2400m)の開催が、いよいよ今週末に迫っている。今年はイクイノックスなど、歴代屈指ともいわれる超豪華メンバーが集結。そして、地方競馬からクリノメガミエース(牝4、兵庫・石橋満厩舎)とチェスナットコート(牡9、兵庫・田中一巧厩舎)の2頭も参戦を予定している。

ジャパンC×地方馬」で印象深いのが、1985年の2着馬ロッキータイガーだ。まだまだ外国馬が優勢だった時代に“世界超え”、さらに皇帝シンボリルドルフに迫った地方からの刺客――といえば、そのすごさが伝わるのではないだろうか。同馬の主戦で、現在はNAR地方競馬全国協会参与を務める桑島孝春氏に、当時のことや地方馬の海外挑戦について聞いた。

 桑島氏はロッキータイガーのことを「レースセンスの良い馬」と表現。直線切れる馬だったが、芝で通用しそうな気配は全くなかったという。ジャパンCの選考レースとなった東京記念については、「レース前は先のことなんて考えてなかった。テツノカチドキが選ばれると思っていた」「ゴールして引きあげてきたとき、厩務員さんに『もしかして、次は府中か!?』といわれて初めて気がついた感じ。ジャパンCは全く無意識だったよ」と、声を弾ませながら振り返る。

 人馬ともに初の大舞台。“勝負”を意識したのはレース当日、先輩ジョッキーからかけられた言葉だったという。「『馬場悪いからお前の馬チャンスあるよ。自信持って乗ってみな』そう言われて気が楽になった」。ただ、あくまでも普段通りのロッキータイガーを意識したとも話す。「だから最後方から運んだ。岡部さん(シンボリルドルフ)についていって、どこまでやれるかなという感じ」。勝負は何があるかわからない。「大事に乗ったら2着だった。何が一番嬉しかったって外国馬に負けなかったことだよね」と懐かしんだ。

 ロッキータイガーの挑戦から約40年が経過し、現在では地方馬が世界に出向いて挑戦する立場になった。今春にはマンダリンヒーローがサンタアニタダービー(米G1)でハナ差2着に大健闘。桑島氏も「素晴らしいよね。(着差を改めて聞いて)うわぁ〜惜しいなぁ」と、嬉しさと悔しさが入り混じった様子。続けて「マンダリンヒーローで(地方にとって)明るい兆しが見えてきたよね。みんな刺激を受けたんじゃないかな」とコメントした。地方馬による海外挑戦の今後の増加については、「十分あるでしょう。増えてもらいたいね」と力を込めた。

 地方馬の大舞台挑戦という意味では、ジャパンCに出走する2頭も同様。「地方馬の姿を見られることは嬉しい」「園田のダート・右回りと、府中の芝・左回りでは、条件も大きく違うけど、同じ競馬には違いはない。頑張ってほしい」とエールを送った。「育成や生産から競馬界一体となっているので、地方・中央、両者の垣根はなくなっている」と語る桑島氏。地方馬の活躍や挑戦は、中央へ、海外へと広がりを見せる現状に、「見応えがあるよね。しっかり見届けないといけない」。レジェンドもそのチャレンジを見守り続ける。

◆桑島孝春(くわじま・たかはる)
71年に騎手としてデビュー。船橋所属馬を中心に南関東のスターホースに数多く騎乗し、10年までに通算40,223戦4713勝(うち重賞86勝)の成績を残した。騎乗数は18年に的場文男騎手が更新するまで歴代1位。騎手引退後はNAR地方競馬全国協会参与として、後進の育成、および地方競馬の発展に寄与している。

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