今年の
日本ダービーはコンビを組む
トーセントラムが除外の憂き目に遭ったが、ついに待ち望んだ時が来た! 藤田菜七子が、GI・
ジャパンC(26日=東京芝2400メートル)に自厩舎の
ウインエアフォルクで出走することになったのだ。
さっそく心境を聞いた。「騎乗依頼をいただき、驚きました。チャンスを下さった成富オーナー、根本先生には本当に感謝しています。日本を代表するレースのひとつだと思うので、出走がかなってうれしいです。頑張りたいですね」
2019年の
高松宮記念(
スノードラゴン17着)以来、3度目のGI騎乗。「過去に乗せていただいた2戦はすごく緊張しました。今回も緊張するとは思いますが、なるべくいつも通りに乗れるよう、平常心で挑みたいですね」という。
ジャパンCには思い出がある。「中学生の時に見に行き、競馬場の雰囲気や迫力がすごいなと感じたのを覚えています。
ジェンティルドンナが
オルフェーヴルに勝った年(12年)で、すごいレースだったなと今も覚えています。あの舞台に自分が立つと思うと感慨深いですね」
師匠の根本調教師は1985年、
天皇賞(秋)に13番人気の伏兵
ギャロップダイナで出走。無敵の皇帝
シンボリルドルフに立ち向かい、レコードで土をつける大番狂わせを演じた。当時、圧倒的強さを誇った
シンボリルドルフを現役世界ナンバーワンホースの
イクイノックスだとすれば、勝利への執念に燃えた若き自分と弟子の姿が重なる。
中山大障害3勝、平地GI・3勝。自らの豊富な経験から「出走する以上はチャンスがある」との揺るぎない信念がある。「メンバーは強いし、格上挑戦だから厳しいのは分かっている。でも、競馬は何があるか分からないし、この馬も力をつけている。頑張ってほしいね」
師匠の言葉に菜七子は「勝たせてもらったことがあり、この馬のことは分かっているつもりです。この馬の競馬に徹したいと思います」と静かに闘志を燃やす。栗東への武者修行、海外遠征など試行錯誤しながら技術を磨き、菜七子もまた力をつけている。4年前の自分を超えられるか。万全の準備をしてその時に備える。
(美浦のビッグ野郎・垰野忠彦)
東京スポーツ