◆第43回
ジャパンC・G1(11月26日、東京・芝2400メートル=良)
第43回
ジャパンC・G1が26日、東京競馬場で行われ、1番人気の
イクイノックスが4馬身差で圧勝した。この勝利で総獲得賞金は22億1544万6100円。
アーモンドアイを抜く歴代1位となった。G1だけでの6連勝は史上初。鞍上のルメールは様々な記録を打ち立てた勝利に感極まり、涙を流した。世紀の一戦と注目された3冠牝馬の
リバティアイランドは2着だった。
世界一の涙がこぼれ落ちた。
イクイノックスが新たな歴史を塗り替えた後の場内インタビュー。いつも陽気なルメールが「僕にとって
ジャパンCは夢でした…」と話すと、目を手で覆い、嗚咽(おえつ)を漏らして泣いた。過去3度制しているが、特別な場所は何度立っても変わらない。「世界でも大事なレース。日本でもダービー以外は一番大事なレース。特別な瞬間でした」と顔を紅潮させ喜びに浸った。
インタビューをターフ側で聞いていた木村調教師も、苦楽をともにする鞍上の涙を特別な気持ちで見ていた。「その思いは私も共有しています。フランスから来て自分で今の地位をつかんだ。逆だったらできない。尊敬しています」と名手への思いを吐露。強い絆でG1・6連勝、総獲得賞金22億円超えなど様々な金字塔を打ち立てた。
再び衝撃が走った。
パンサラッサの大逃げで前半1000メートルは57秒6のハイペース。ざわつく場内の中、
イクイノックスはスタートを決め、3番手につけた。道中は人馬で呼吸をぴったりと合わせダイナ
ミックなフォームで追走。直線に入ると激しく追い出す他馬の最後に追い出され、エンジンを点火させた。
好位につけながらもメンバー最速の上がり3ハロン33秒5。異次元の末脚で前を一気にのみ込んだ。4キロ軽い斤量の54キロで果敢に挑んできた
リバティアイランドも全くついてこれない。世紀の一戦を、最後は手綱を緩めてのゴール。後続に4馬身の決定的な差をつけ、世界の度肝を抜いた。鞍上は「この馬の走りは信じられない。イメージ通りの競馬で、勝つ自信がありました。今日は瞬発力がありました。スーパーホースですね。乗りやすい馬でまるでポニーみたい」と絶賛した。
今後は決まっていない。
有馬記念への参戦など流動的だが、ルメールは「彼は自分から仕事をしてくれる、そういう馬。そういう馬に乗れることは喜び」と絶大な信頼を寄せる相棒の背中を欲している。次はあるのか? 世界の中心に、今もこれからも
イクイノックスがいる。(松末 守司)
◆
イクイノックス 父
キタサンブラック、
母シャトーブランシュ(
父キングヘイロー)。美浦・
木村哲也厩舎所属の牡4歳。北海道安平町のノーザン
ファームの生産。通算10戦8勝(海外1戦1勝含む)。総獲得賞金は22億1544万6100円(海外4億5889万100円含む)。主な勝ち鞍は東京スポーツ杯2歳S(21年)、
天皇賞・秋(22、23年)、
有馬記念(22年)、ドバイ・シーマクラシック(23年)、
宝塚記念(23年)。馬主は(有)シルクレーシング。
スポーツ報知