◆第33回
香港マイル・G1(12月10日、シャティン競馬場・芝1600メートル)
JRA海外馬券発売レースの香港国際競走は10日、シャティン競馬場で開催される。日本勢は大挙14頭がG1・4競走にスタンバイ。前走の
マイルCSで悲願のG1初制覇を成し遂げた
ナミュール(牝4歳、栗東・高野厩舎)は、史上3頭目の同レースとの連勝をかけ、G1・9勝の地元馬
ゴールデンシックスティが待ち受ける
香港マイルに挑む。
厚い信頼を胸に送り出す。
ナミュールは
香港マイルが海外初遠征。中3週の前走に続いて今回も中2週と、短い間隔での転戦が続く。高野調教師は「1年前は考えられなかったですよね」と目を丸くするが、参戦は昨春の
オークスから約30キロ増の馬体など成長を実感しているからこそ。「たくましくなりました。香港は差し脚が届く馬場で、合っていると思うんです」。
ハットトリック(05年)、
モーリス(15年)と過去に2頭しかいない
マイルCSからの連勝に力を込めた。
紅一点で挑んだ前走の
マイルCS。4角最後方で直線を迎えながら、前が開いたラスト1ハロン手前から一気に内で叩き合うラ
イバルをのみ込んだ。2度の1番人気を含む8度目の挑戦で、ようやくつかんだG1タイトルだった。「今まで力を発揮させられていないという、馬に対する負い目がありました。あの勝ち方でもあったので興奮しましたね」。豪脚ですべてを吹き飛ばしたレース後、いつも冷静な高野師の目には光るものがあった。
一昨年、昨年と2年連続で
レイパパレが
香港カップに出走。香港国際競走は3年連続の参戦になる。当然、芝とAW(オールウェザー)コースしかない現地での調整も織り込みずみだ。「向こうで体をつくり上げるよりは、ある程度の仕上がりで輸送すべきかなと。今回は
マイルCSを使った負荷を、どうやって上手に使っていくかですね」。経験値を踏まえ、三度目の正直を目指す。
「G1を勝たせてもらったけど、これが天井だと思わないし、思いたくもない。今回は今後に向けての大事なレースになると思っています」。これは挑戦ではない。日本の新マイル女王にとって、さらなる覚醒への一歩だ。(山本 武志)
スポーツ報知