阪神JF当日(10日)はおなじみ香港国際競走が行われる。シャティン競馬場を舞台に、4つのGIレースが一挙に開催される、この国際競走には例年、多くの日本馬が参戦しており、今年も計14頭がエントリー。他の外国勢と比較しても、日本勢は出走数が突出しているだけに、各レースとも「日本馬VS香港馬」が基本的な対決構図となろうか。
個人的には
香港マイル(芝1600メートル)に最も注目している。過去10年では地元・香港馬が実に8勝(日本馬2勝)。今年も2020年、21年を連覇した
ゴールデンシックスティに、22年の覇者
カリフォルニアスパングルら強力な現地勢がスタンバイしているだけに、その牙城を崩すのは簡単なミッションではないが…。今年は日本からも歴代最多の5頭(
セリフォス、
ソウルラッシュ、
ダノンザキッド、
ディヴィーナ、
ナミュール)が参戦。まさに日本競馬と香港競馬の威信を懸けた“総力戦″ともいうべき様相を呈している。
その中でも「打倒香港馬」の最右翼になるのが、シャティンを知り尽くしたジョアン・モレイラを鞍上に迎える
ソウルラッシュなのではないか。現在、
JRA短期免許を取得して国内騎乗中の鞍上を先週の栗東トレセンで直撃すると、快く取材に応じてくれた。
「結果は2着だったけど、中身のある、すごくいい競馬だった。香港に行ってチャレンジするべき馬だと思いましたね」
初コンビとなった前走の
マイルCSでは
ナミュールに最後の最後でクビ差かわされる悔しいレースに。再び
ソウルラッシュと迎えるGIタイトル奪取の機会を心待ちにしている。一方で日本とは環境が異なる香港を知り尽くしている男が、
ソウルラッシュの適性をどう感じているかも気になるところだが…。
「シャティン競馬場は基本的に日本の競馬場よりも平ら。日本のマイルGIの舞台と比べると、そう負担がかからない。
ソウルラッシュには合うと思います」
過去に香港リーディングを何度も獲得していた男がそう分析するのなら、ノープロブレムとしていいのではないか。さらに話題は日本競馬の全体レベルにも及んだ。
「香港と日本の競馬、いろいろと違いはありますが、確実に言えるのは頭数ベースから見ても、日本競馬は非常にレベルが高いということですね。香港にもトップホースはいるけど、日本はトップホースの数が多い。間違いなく日本のほうが全体のレベルは高い」
決してリップサービスではない。香港、日本どちらでも最上級の馬に数々騎乗してきたモレイラだからこそ言える客観的な分析なのだろう。
「向こう(香港馬)はホーム、こちらはアウェーになりますが、それでも十分に戦えると思っている。
ソウルラッシュでのGIリベンジの機会を楽しみにしています」
こちらは慣れ親しんだ香港の舞台で放つ、モレイラ“魂″身のマジックを現地でライブ観戦できることが今から楽しみでならない。
(念願の香港出張野郎・明神瑠)
東京スポーツ