デビューの2021年は7勝、2年目の昨年が21勝。「昨年の秋の前に、
横山典弘さんから色々とアド
バイスをいただいたのが、すごく実になりました」とそのとおり、今年はここまで46勝を挙げて好調の
永島まなみ騎手(21)=栗東・
高橋康之厩舎=に、話を聞いた。
「去年以上、勝ちたいなという小さな目標は立てていましたが、ひとつひとつを積み重ねていければいいなというのが目標でした」との思いで始まった2023年。3月までは7勝だったが、4月9日の福島で自身初の1日3勝をマークした。最終レースの
ヤマニンループは、後方から4角でもほとんど進路がないなか、ラチ沿いを一瞬で突き抜けた。「中京で乗せていただいたときに、引っ掛かって馬に申し訳ないレースをしてしまって。福島では最内からすごい脚で伸びてくれて、馬が狭いところを突いてくれて、うまくかみ合いました」と今年のなかでも印象に残る勝利だった。反省を生かし、次のチャンスで決めたのが成長の証だろう。
4月は月間9勝と、波に乗ってきたところで、スマホの不適切使用による騎乗停止処分を受けた。当時、記者も永島騎手が多くの競馬関係者に謝罪をしている場面を目にしたし、本人が落ち込む様子も見られた。だが、ひたむきに努力を続けてきたからこそ、復帰後も師匠の高橋康調教師が支えてくれた。「先生はデビューしてから…今もそうなんですけど、技術不足で馬が集まらないときも、厩舎の馬にたくさん乗せていただいて経験値を上げてくださいましたし、スマホの件のあとも
バックアップしていただいています」と良き師匠に恵まれたことに感謝した。
10月14日の新潟・
飛翼特別では10番人気の
アジアノジュンシンで初の特別勝ちを決めた。「(特別を)勝ってないのはずっと自分の中でありました。減量のないレースで勝たないと、もっと上ではやっていけないなと思っていたので」とひとつのモヤモヤが晴れた。ちなみに馬名である「アジアの純真」の曲は知らなかったようで、40歳である記者とのジェネレーションギャップを感じた。それは余談だが、減量特典のない特別競走でも、彼女の名前を見ることが増えてきている。
東西のトレセン関係者の中でも「追えるようになってきた」という声は多い。だが、本人は「デビューした頃よりも馬の上でできることが増えたとは思いますが、まだまだ取りこぼしが多いと感じます。追い負けてしまうことも多く、もっと追えるようになれるよう頑張りたい」と自身の課題と認識している。
永島騎手が勝つと、ウイナーズサークルにはたくさんの人だかりができる。「勝ったら『おめでとう』って言ってくださって、それがすごくうれしいです。ファンレターも女性の方も男性の方も送ってくださいます」と
モチベーションにつながっている。競馬の世界で勝ち続けるのは簡単なことではない。だからこそ、努力を続けなければならない。「もっと大きな舞台でも活躍できるジョッキーになりたいなと思っているので、今以上にもっと頑張らないと」と気を引き締めた。
他にも書き切れないほどの話をしてもらったが、その話はまたどこかで。最後に高橋康調教師に、今年のまな弟子の活躍について聞いた。「デビューの時から今まで、努力してきてことが実を結んできたと思う。勤勉で、真っすぐで研究熱心。僕も励みになるし、本当にいい子です。僕が来年から師匠と呼ぼうかな…」と冗談を交えて、たたえていた。来年も優しい師匠に見守られ、永島騎手は努力を続けていく。(
中央競馬担当・山下 優)
スポーツ報知