「
阪神JF・G1」(10日、阪神)
今年3月に開業したばかりの
小栗実調教師(36)=栗東=が、2歳女王決定戦でG1に初挑戦する。送り出すのは、もみじS覇者
ナナオと、
白菊賞を制した
プシプシーナ。どちらも厩舎“生え抜き”の存在だ。好ムードが漂う2頭で、史上7人目となる開業初年度のG1制覇に挑む。
約9カ月で14勝。今年開業した調教師では、上原佑師(15勝)に次ぐ勝ち鞍を積み重ねている小栗師が、
ナナオと
プシプシーナの2頭出しで初めての大舞台に挑む。
新人調教師が解散した厩舎から引き継いだ馬でG1に出走することはあっても、“生え抜き”の馬が開業初年度に2歳G1へと駒を進めることは決して多くない。小栗師は「本当にありがたいです。G1に出ること自体、なかなかできないと思うので」と感謝の気持ちをかみしめている。
高校卒業後、BTC(軽種馬育成調教センター)で技術を磨き、アイルランドのマイケル・ハルフォード厩舎で研修を行った経験も持つ36歳。どこの環境、競馬場でも力を発揮できるようにと、日々調教に変化を加えてきた。「厩舎での横木通過もその一環ですが、物おじしない馬づくりをしています」。信念を持って取り組んできたことが、早速実りつつあるようだ。
ナナオはもみじSを制し、
プシプシーナは
白菊賞をV。どちらも賞金的に出走可能で、「2頭とも使った後、より一層良く見せています」と指揮官は確かな手応えを得ている。「(
ナナオの)増田オーナーとは海外にも馬を買いに行かせていただくなど、開業前から気に掛けていただきました。他のオーナーさんもそうですが、恩返しというか、気に掛けてもらっているからには結果を出したい」。開業初年度にG1を勝てば史上7人目。新進気鋭の若手トレーナーが暮れの仁川で栄冠をつかみ取る。
提供:デイリースポーツ