JRAは7日、2024年度調教師免許試験(新規)合格者を発表。カッチーの愛称で知られ、スポニチ本紙コラム「
田中勝春この1頭」(東日本版)でもおなじみの
JRA通算1809勝ジョッキー、
田中勝春(52)と
秋山真一郎(44)が合格した。騎手としてのキャリアにピリオドを打ち、来年3月から調教師として新たな一歩を踏み出す。また、
前川恭子調教助手(栗東・
坂口智康厩舎)も合格し、
JRA初の女性調教師が誕生することになった。
JRAから最高の知らせが届いた。騎手の田中と秋山はともに難関にチャレンジし、見事に突破。毎年、多くのホースマンが涙をのんでいるように約5%とされる合格率が、いかに狭き門なのかを物語っている。そこに名があるだけで凄いこと。一方で、それは自身の引退が迫っていると確定する瞬間でもあった。
田中勝は19年
函館記念(
マイスタイル)で区切りの
JRA重賞通算50勝、22年
七夕賞(
エヒト)で3年ぶりに重賞制覇を飾った。1809の勝ち星を積み重ねたベテラン。惜しまれつつステッキを置き、次のステージへ。近い将来、調教師としてもカッチー・
スマイルを見られる日がやって来る。
秋山真は父が騎手だったこともあり、自身も幼少期から騎手を志した。97年にデビューし、その年は自身が所属する野村厩舎の
キョウエイマーチが
桜花賞制覇。翌年
マイルCS(6着)で初めてコンビを組んだ。「自厩舎とはいえ普通は2年目の騎手が
桜花賞馬なんて乗せてもらえない。野村先生には感謝の気持ちしかありません」。07年
オークスは1番人気
ベッラレイアで鼻差2着に敗れ、悔しい思いをした。それから5年、
カレンブラックヒルとのコンビで臨んだ12年
NHKマイルCでG1初制覇。日々うまくなることを考え、競馬と向き合ってきた。21年に亡くなった師匠の背中を追い、馬づくりの道を極めていく。
◇田中 勝春(たなか・かつはる)1971年(昭46)2月25日生まれ、北海道出身の52歳。89年に美浦・藤原敏文厩舎所属でデビュー、同年10月21日に東京6R(
セキテイボーイ)で
JRA初勝利。92年
安田記念(
ヤマニンゼファー)で
JRA・G1初制覇、2007年は
ヴィクトリーで
皐月賞V、
シンガポール航空国際カップ(
シャドウゲイト)で海外G1制覇、自身初の
JRA年間100勝を達成。
JRA通算2万643戦1809勝、うち重賞51勝(G1・2勝)。1メートル55、51キロ。血液型AB。
◇秋山 真一郎(あきやま・しんいちろう)1979年(昭54)2月9日生まれ、滋賀県出身の44歳。父・忠一さんは元騎手で元調教助手。97年、栗東・野村彰彦厩舎所属でデビューし、現在はフリー。12年
NHKマイルC(
カレンブラックヒル)でG1初制覇、18年
福島牝馬S(
キンショーユキヒメ)で史上5人目(当時)の
JRA全10場重賞制覇を達成。
JRA通算1万3480戦1056勝、うち重賞38勝(G1・2勝)。1メートル67、50キロ。血液型A。
【2024年度調教師免許試験(新規)合格者】
秋山真一郎 浅利英明 佐藤悠太 高橋一哉 田中勝春 柄崎将寿 東田明士 前川恭子 宮地貴稔 ▽
JRA調教師試験 受験資格は28歳以上。第1次が筆記試験と身体検査、合格すると第2次で口頭試験と人物考査が行われる。いずれも競馬法規や調教、馬学、衛生学、飼養管理など幅広い専門知識を問われる。合格後はタイミングにもよるが技術調教師として1年ほど研修、準備期間を経て開業するケースが多い。今年の申請者は133人、第1次試験が9月13日、第2次試験が11月28〜30日にあった。
スポニチ