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JRA史上初女性調教師誕生 133人→9人合格の狭き門 前川恭子さん「女性でも男性でも馬より力は弱い」

デイリースポーツ
  • 2023年12月08日(金) 06時00分
 JRAは7日、新規調教師免許試験の合格者を発表。今年、難関をクリアしたのは9人で、栗東・坂口厩舎で調教助手を務める前川恭子さん(46)が5回目の受験で見事クリア。来年1月1日、JRA史上初の女性トレーナーが誕生することになった。

 難関を見事に突破し、新たな歴史に名を刻む。栗東トレセンで会見に臨んだ前川助手は、引き締まった表情で抱負を語った。

 「関わった馬たちが元気で大切にされ長生きして、その血を残していくことが目標です。そのためにも大きいレースを勝ちたい。繁殖馬になれなかった馬の引退後にも関わっていきたいです」

 幼い頃からサラブレッドは身近な存在だった。出身は千葉県富里市。「保育園の隣、小学校の通学路にも牧場がありました」。11歳から乗馬クラブに通うと、筑波大進学後は馬術部に入部。部費を稼ぐために美浦の乗馬苑でアルバイトした際に、「こういう仕事があるんだな」と知り、ごく自然な流れで競馬の世界に入った。

 卒業後は北海道で2年間の牧場勤務を経て、26歳で栗東トレセン入り。崎山博樹厩舎ではウエスタンダンサーを担当し、08年京阪杯をV。同厩舎解散後は坂口厩舎などで腕を磨いてきた。「もともと調教師になりたくて、この世界に入りました。結局受験しないまま過ぎまして、5年ほど前から勉強して…」。5回目の受験(2次試験は2度目)で夢のスタート台に立ち「うれしいです。いろんな方に助けてもらいました」と多方面のサポートに頭を下げる。

 厩舎づくりはもちろん、JRA史上初の女性調教師としての使命感も胸にある。「責任はすごく感じます。今は少子化で、競馬の仕事のなり手も減っています。もっと女性にもこの世界に入ってきていただきたい。女性でも男性でも馬より力は弱いですから、女性だからできない仕事ではない」と人材不足が叫ばれる競馬界において、女性進出の旗手となる考えだ。

 「有給(休暇)も取りやすいですし、今も十分に働きやすい。長年続けるコツもあるので、ご相談にも乗れたらと思う。アピールできたら」。これからの競馬界に新風を巻き起こしていく構えだ。

 ◆前川恭子(まえかわ・きょうこ)1977年4月9日、千葉県富里市出身。筑波大卒業後、北海道のビクトリーホースランチで2年間の勤務を経て、2003年7月にJRA競馬学校厩務員課程入学。同年10月、栗東・崎山博樹厩舎に厩務員として所属。04年2月に調教助手。田所秀孝厩舎を経て、19年3月から坂口智康厩舎で調教助手を務める。家族は夫と高校1年生の娘。

 ◆調教師免許試験 中央競馬の場合、調教師になるためにはJRAが行う調教師免許試験に合格する必要がある。28歳以上であることが条件。試験内容は身体検査、学力検査、人物考査、調教技術など。高い専門性が求められるため、騎手や厩舎スタッフなど、競走馬の調教や飼養管理を行ってきた人たちが資格取得するケースが一般的である。例年、第1次試験は9月、第2次試験が11月に実施され、12月に合格者が発表される。今年は応募者133人に対して第1次合格者が24人、第2次合格者は9人という狭き門。現在、リーディングトップで活躍する矢作芳人調教師は、14回目の挑戦で難関を突破した。

提供:デイリースポーツ

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