朝日杯フューチュリティステークス(2歳牡牝・GI・芝1600m)はジンクスが多いレースだ。最も有名だったのは「
武豊騎手が勝てない」。22回目の参戦となった2021年の
ドウデュースで初勝利を挙げたことは記憶に新しい。
さらには勝ち馬と
日本ダービーの相性が悪いことも知られている。かつて朝日杯3歳Sの名称だった80年代には
メリーナイスと
サクラチヨノオーが勝利。90年代には90年
アイネスフウジン、92年
ミホノブルボン、94年
ナリタブライアンと出走機会3連勝もあったが、その後は14連敗。こちらも
ドウデュースが昨年の
日本ダービーを制したことで連敗に終止符が打たれたものの、両レースの相関関係が弱いことは間違いない。
では、
朝日杯FSの勝ち馬はどうして
日本ダービーを勝てないのだろうか。その最大の理由は、
朝日杯FSの位置づけが変わってきたことにある。以前の2歳牡馬は距離適性に関係なく、
朝日杯FSに向かうのが当たり前だったが、近年は
NHKマイルCを目指す馬の
ステップレースという意味合いが強くなっている。
一方、中距離路線は
ホープフルSが14年からGII、17年からGIに昇格、京都2歳Sが14年からGIIIに昇格、東京スポーツ杯2歳Sが21年からGIIになったように、整備が進んでいる。以前は3歳春になってからマイル路線とクラシック路線に分かれていたが、近年は2歳戦から棲み分けされているのだ。ここ10年の
朝日杯FSの勝ち馬を見ても
ダノンプレミアム、
アドマイヤマーズなどマイラーがズラリ。これでは
日本ダービーを勝てないのも無理はない。
今年の出走馬を見渡しても、
ジャンタルマンタル、
シュトラウス、
ダノンマッキンリーなど、後に一流マイラーに育ちそうな素質馬が顔を揃えた。この中に来年の
NHKマイルCの勝ち馬がいるのだろうか。はたまた予想を覆しクラシック路線で大活躍する馬も出てくるのだろうか、今後を楽しみにしたい。
【90年以降の
朝日杯FS勝ち馬の
日本ダービー成績】
・90年1着
アイネスフウジン(3番人気)
・92年1着
ミホノブルボン(1番人気)
・94年1着
ナリタブライアン(1番人気)
・97年15着
マイネルマックス(9番人気)
・02年6着
アドマイヤドン(8番人気)
・03年10着
エイシンチャンプ(5番人気)
・04年12着
コスモサンビーム(7番人気)
・05年5着
マイネルレコルト(8番人気)
・06年8着
フサイチリシャール(10番人気)
・07年5着
ドリームジャーニー(8番人気)
・09年13着
セイウンワンダー(3番人気)
・10年2着
ローズキングダム(5番人気)
・12着13着
アルフレード(8番人気)
・13着5着
ロゴタイプ(2番人気)
・16年5着
リオンディーズ(4番人気)
・18年6着
ダノンプレミアム(1番人気)
・20年2着
サリオス(2番人気)
・22年1着
ドウデュース(3番人気)