長年続いた競馬の“西高東低”に終止符が打たれる時が来たのかもしれない。
阪神JFを終えた時点で、平地G1の勝ち数が関東馬14勝、関西馬8勝。残りの
朝日杯FS、
有馬記念、
ホープフルSの決着を待たずに、98年以来、25年ぶりとなる関東馬のG1勝ち越しが決まった。
阪神JFはまさに、今の流れを象徴するような結果となった。5頭出走していた関東馬が上位3着までを独占。それだけでなく、牡馬クラシックの連対は全て関東勢が占めた(ダービーと
菊花賞はワン
ツースリー)。このように、今年の関東馬はG1での活躍が目覚ましいのだ。
ドゥレッツァで
菊花賞を制した尾関師は、こう推察する。「
イクイノックスや
ソングラインのような強い馬が、しっかり結果を残したからでしょう。そこに引っ張られた部分はあるかもしれませんね」。それぞれ路線の中心となるトップホースがG1を勝ち切ることで、それに続けとばかりに関東馬の地力が底上げされる-。振り返れば、98年も
年度代表馬に輝いた
タイキシャトルを筆頭に、
エルコンドルパサーや
セイウンスカイといった実力馬が続々と走っていた。
また、今夏に美浦坂路が閉鎖されていたことが、秋の躍進に好影響を与えたのだという。尾関師も「あの時期、各厩舎はいろいろと工夫してやっていました。大変でしたが、その時の経験が今につながっているのでは」と語る。止め際がはっきり決まっている坂路よりも、トラックコースの方が馬とのコンタクトを求められるというのは定説。坂路を使えないことが乗り手の技術向上につながった可能性もある。
そして満を持して、10月4日に改修された坂路がオープン。全長1200メートルは変わらないものの、高低差がこれまでの18メートルから33メートルになった(栗東坂路の高低差は32メートル)。まだオープンから2カ月ほどしかたってないが、美浦の“鬼門”だったはずの砂G1・チャンピオンズCで関東馬がワンツー(1着
レモンポップ、2着
ウィルソンテソーロ)したのは、栗東並みかそれ以上の負荷をかけられるようになった坂路の効果が少なからずあったはずだ。
とはいえ、今はビッグレースの活躍が目立つだけで、トータルでは関西馬が変わらず圧倒している(12月3日終了時点で関東1371勝、関西1872勝)。今年の流れが来年以降も続き、条件馬たちも全体的に底上げされれば-。
イクイノックスが引退した来年以降も、継続して関東馬が勝ち続けられるかどうかが鍵になるだろう。
スターズオンアース、
タスティエーラ、
ソールオリエンスなど、関東に多数の有力候補が控える
有馬記念が楽しみだ。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ