朝日杯FS(17日=阪神・芝外1600メートル)にエントリーした19頭の内訳は牡馬17頭+牝馬2頭。そのうち
スウィープフィートは抽選突破を果たしたことで先週の阪神JFに出走。抽選で除外された
タガノエルピーダは唯一の牝馬の参戦となる。
常識的には「牡馬相手では…」となるが、裏を返せば「牡馬相手でも」GIへの出走にこだわりを見せたとも。厩舎サイドのこの執念には注意を払わなければなるまい。
まだキャリア1戦と格下の身ではあるが、その新馬戦が素質馬の揃ったハイレベルな一戦。これを好位のインでセンス良く立ち回り、上がり最速の33秒5をマークして完勝してみせた。1分34秒3の優秀な勝ち時計を含め、重賞レベルのポテンシャルの片りんは十分に見て取れる。もともとデビュー前から高い評価を受けていた素質馬が、期待通りのレースを披露したからこそ、2歳GIへの参戦を決断する運びとなったのだ。
新馬勝ちを決めた後は放牧を挟んで調教を再開。条件クラスで着実に賞金を加算する選択もあった中での2歳GIへの挑戦を斉藤崇調教師はこう説明する。
「調教の段階から能力の高さを感じていたし、新馬戦は期待通りにいい勝ち方でした。いきなり相手が強くなって経験の差が出てしまうかもしれませんが、実力的には通用していいとみていますし、今の段階でGIへ挑戦することに意義がある。将来に楽しみをつないでいくようなレースができればと期待しています」
その姿勢は牡馬が相手でハードルが上がっても何ら変わることはない。
「追い切りを重ねるごとに上向いてはいたんですけど、放牧から帰ってからは新馬戦のころと比べて少し反応が鈍くなっていて、6日の追い切り(阪神JFに向けての最終追い)の動きもやや重く感じられた。レースが1週延びた分でさらに調整が進んで、よりいい状態に仕上がってくると考えています」
前向きな姿勢を決して崩すことなく、送り出される紅一点の牝馬が、大仕事をやってのけても驚きはない。
(石川吉行)
東京スポーツ