今年はGII東京スポーツ杯2歳Sの勝ち馬
シュトラウスが参戦するが、これは結構珍しいパターン。それというのも東スポ杯は“出世レース”として知られており、勝ち馬の多くは翌年のクラシックを見据えて年末の
ホープフルSを使うか、休養に入るパターンがほとんどだからだ。
東スポ杯の勝ち馬で
朝日杯FSを使ったのは2012年の
コディーノ(2着)が最後。朝日杯も連勝した馬となると09年の
ローズキングダムまでさかのぼらねばならず、かなりのレアケースであることが分かる。
一方で見逃せないのは、このローテーションを選択した馬たちの好走率の高さだ。前出2頭のほか
アドマイヤコジーン(1998年=1着)、
タガノテイオー(00年=2着)、
フサイチリシャール(05年=1着)、
サダムパテック(10年=4着)の4頭を加えた計6頭が参戦して、[3-2-0-1]の好成績を残している。
となれば今年の
シュトラウスも当然、要注目の一頭。同馬がなぜ来年のクラシックを見据えたローテではなく
朝日杯FS(17日=阪神芝外1600メートル)に参戦してきたのかは、そのレースぶりを見れば一目瞭然だ。
前向きすぎる気性ゆえにデビュー前から陣営にコントロールの課題を指摘され、2戦目のGIII
サウジアラビアRCでは中団の馬群で激しく折り合いを欠いて3着に敗戦。初重賞制覇となった前走後にも武井調教師が「まだ(常識から)はみ出る部分があってジョッキー頼み、ペース頼みになる現状です」と苦笑いを浮かべるほどだった。だからこその1800メートルからマイルへの距離短縮。そして英国の名手マーカンドの起用なのだろう。
この中間はノーザン
ファーム天栄に放牧に出て、先週水曜(6日)に美浦トレセンに帰厩。いわゆる“(在厩)10日競馬”での臨戦ながら、これは前走の東スポ杯とほぼ同様のパターン。それでも前走の中5週から今回は中3週と間隔が詰まるだけに、気性面の高ぶりは気になるところだが…調教役の辻本助手は「まったく問題ないですよ」とノープロブレムを強調する。
「1週前追い切り後は日曜(10日)、火曜(12日)と坂路で2本ずつ乗りましたが、落ち着いて縦列調教ができています。馬体もツヤツヤですし、むしろ前走時よりも良く感じるくらいですよ。今後は水曜に追い切って木曜に栗東に移動。金、土と栗東の坂路で乗って本番に臨む予定です。馬体の迫力や
パワー、体力は2歳馬離れしていますから、今回もいい競馬をしてもらいたいですね」
危ういレースぶりから“気性難”のひと言でバッサリ切る向きもあるかもしれないが…過去のデータをはじめ、距離やジョッキーの選択、陣営の感触からはほとんど欠点が見当たらない
シュトラウス。今のところ筆者は“買い”と見ているが、その挙動からはギリギリまで目が離せそうにない。
(美浦の飲ン
フィクション野郎・藤井真俊)
東京スポーツ