GIを3勝した“仁川の帝王”
タイトルホルダー(牡5、美浦・
栗田徹厩舎)が、
有馬記念を最後に現役を引退した。通算成績は19戦7勝。今後は北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬となる。
肉を切らせて骨を断つ、徹底先行タイプの名馬だった。3歳時は
皐月賞が2着、
日本ダービーが6着だったが、
菊花賞を鮮やかに逃げ切ってGI初制覇。4歳を迎え、
天皇賞(春)では逃げながら上がり3Fをメンバー中最速でまとめて、7馬身差の圧勝を収めた。さらに衝撃的だったのが続く
宝塚記念だ。
パンサラッサが刻んだ前半1000m57秒6の超ハイペースを2番手で追走。かなり厳しい展開だったが、後続の追い上げを凌いで堂々の押し切り。圧巻の走りで3つ目のGIを獲得し、現役最強の地位を確固たるものとした。
その後は
凱旋門賞にも挑戦。帰国初戦の
有馬記念では9着も、
日経賞では8馬身差の圧勝を飾って、現役屈指の力を改めて見せつける。だが、連覇を狙った
天皇賞(春)で競走中止。秋の
オールカマーで復帰して2着、
ジャパンCは5着となり、24日の
有馬記念3着で現役生活に幕を閉じた。しかし、最後まで自分の
スタイルを貫徹。GI3勝を全て阪神で挙げた“仁川の帝王”として、多くのファンに愛された競走馬だった。
種牡馬としては21年夏に早世した
ドゥラメンテの最初の後継種牡馬となる。
キングカメハメハが3代前、
サンデーサイレンスが4代前となるので、
キングカメハメハ系以外の牝馬とは、ほぼ問題なく交配できるだろう。また、生産者の岡田スタッドの全面的サポートを受けられるのも心強い。祖母の
父Shirley Heights、母の
父Motivatorと英ダービーが重ねられた母系は、まさに欧州のクラシックディスタンス仕様。父が果たせなかった
凱旋門賞制覇の夢を叶えてくれる産駒の誕生を心待ちにしたい。