「
有馬記念・G1」(24日、中山)
イブ決戦に個性的なメンバーが集結。うち9頭の父はいずれも
グランプリを制した名馬だった。全5回で、父の輝かしい蹄跡を振り返る。
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ディープ、敗れる-。16万人のファンが詰めかけた中山競馬場のスタンドがどよめき、日本中に衝撃が走った05年の
グランプリを制したのが、4番人気の伏兵
ハーツクライだ。これまでG1で2着3回と涙をのんできた無冠馬が、単勝1・3倍の圧倒的1番人気に支持された無敗の3冠馬を破り、10度目の挑戦で待望のG1タイトルを手にした。
当時、短期免許で来日していたルメールにとって、ハーツでのVはまさに三度目の正直。
天皇賞・秋6着、
ジャパンC2着と差し届かなかったこれまでの
スタイルを脱ぎ捨て、思い切った積極策で勝機をうかがった。
好位4番手で流れに乗り、勝負どころでは手応え十分。直線で前を行く
コスモバルク、内から迫る
リンカーンを突き放して先頭へ躍り出ると、ステッキを左に持ち替え、返す刀で
武豊&
ディープインパクトの猛追をシャットアウト。完璧騎乗でVへと導き、スタンドへ向けて高らかと左手を突き上げた。
今ではG1請負人と呼ばれるルメールも、当時は大舞台で2着5回と、結果を残せずにもがいていた。10度目の挑戦で遂につかんだ日本の頂-。競馬史に残るジャイアントキリングは、人馬ともに殻を破った瞬間だった。
提供:デイリースポーツ