24年目のリベンジなるか――。今年のリーディングサイアー1位、2位を占める「父ミスタープロ
スペクター系」は00年の初出走以来、
有馬記念で未勝利。いったいなぜか。過去の出走を振り返り、種牡馬勢力図が一変した
エポックメーキングな年に「初V」があるかを検証しよう。
今年の
有馬記念で、父ミスタープロ
スペクター系の有力馬は
スターズオンアースと
タイトルホルダー。
いずれも
ドゥラメンテ産駒。
ドゥラメンテ自身は
皐月賞、ダービーの2冠馬。21年夏に世を去ったので、5世代を残したのみに終わったが、活躍馬はまさに続出。父が見せていたスケールの大きさと勝負強さ、この父系全体に見られる万能性や継戦能力は大方の一流馬に、いろいろと形を変えて受け継がれているとみていい。
リバティアイランド、
ドゥレッツァといった超A級のみならず、ダート転身からJBCレディスCを勝った
アイコンテーラー、穴党の星
ドゥラエレーデ(
ホープフルS1着、UAEダービー2着、
チャンピオンズC3着)、小倉巧者
アリーヴォなど超A級に続くグループの個性が産駒の幅広さを裏付ける。
有馬出走予定の2頭は超A級
ドゥラメンテ産駒だ。
タイトルホルダーは父のスケール感を受け継いだG13勝馬。
有馬記念は過去2年5、9着と結果が出ていないが、3歳時は力負け、4歳時はフランス遠征帰りで万全に至らず。中山芝2500メートルでは
日経賞を連覇しており、コース適性に疑いはない。前走
ジャパンC(5着)は絶対ハナを譲らない
パンサラッサがいて2番手になったが、今回はマイペースのハナが見込める。夏には「秋3走」を発表し、自他ともに
有馬記念が最大目標と認めるところ。3回目の挑戦で一番の臨戦態勢。ラストランでミスタープロ
スペクター系に初の
有馬記念Vを届けられるか。なおこの馬は、
天皇賞・春を初めて勝った父ミスプロ系でもある。
スターズオンアースは競馬場を問わない万能性、これまで馬券圏外のない安定感、2〜3歳時8カ月6走した継戦能力の高さと、父系に見られる良さを詰め込んだ4歳牝馬。
天皇賞・秋は態勢が整わず自重したが、そのぶん
ジャパンC3着に続いて秋2走目と鮮度も十分。久々の中山となるがコーナーワークが不得手ということもないタイプで、問題なくこなすだろう。母の父がミスタープロ
スペクター直子のスマートス
トライクでミスプロ4×3。父系初の
有馬記念勝ちには、これぐらい濃い方がふさわしいかもしれない。
この2頭なら――。今年の
有馬記念は、
ドゥラメンテ産駒による「父ミスタープロ
スペクター系で初の
有馬記念V」の機運が高まっていると言えよう。(仙波広雄)
○...ミスタープロ
スペクター 1970年1月28日、米国ケンタッキー生まれ。父レイズア
ネイティブ、
母ゴールドディガー(母の父ナシュア) 現役時代は14戦7勝、重賞未勝利。75年クレイボーン
ファームで種牡馬入り。活躍馬を多数出したほか、「種牡馬の父」としても後継が多くいる大種牡馬。世を去る29歳のその年まで種付けをこなしたタフガイ。
スポニチ