2017年のGI昇格以降、7回目を迎える
ホープフルS(28日=中山芝内2000メートル)。昇格当初は牡馬クラシック第1冠・
皐月賞と同じ舞台設定という強力な売りがある一方で、
朝日杯FSのGIとしての歴史の長さに押されている印象もあったものの、19年に
コントレイルが
ホープフルS制覇から初の
JRA賞・
最優秀2歳牡馬の座に就いたことで、その価値は飛躍的に高まった。23年最後の
JRA・GIとして施行された後、さらに価値を高めることはできるのだろうか。
無傷2連勝で重賞を制した
ゴンバデカーブース(
サウジアラビアRC)、
シンエンペラー(
京都2歳S)が注目を集める中、当欄はまだキャリア1戦の身の
アドミラルシップにスポットを当ててみたい。
デビュー戦が長距離輸送後の“アウェー”京都での勝利。2着に競り落とした
ヴィレムは次走の未勝利戦を快勝。そして半姉に
有馬記念に出走する
ライラック。キャリアの割には買い材料が見いだせる中で、H.ドイルとのコンビが決まる新たな買い材料も加わった。
22年仏
オークスで女性騎手としては初めて欧州クラシックのタイトルを手にした名手は、13日の追い切り(南ウッド6ハロン82.7-11.4秒)で初コンタクト。「すごく素直な馬。道中は
リラックスできていて、こちらの合図にしっかりと反応してくれました。自分の仕事に興味を持っていますね」と“独特の表現”で
アドミラルシップの特徴を伝えた後、「いいギャロップをするし、何より運動能力が高い。2歳馬にとって中山は難しい競馬場だと感じますが、うまく馬体がまとまっているので中山の2000メートルでも大丈夫そう」と能力もまた高く評価した。
最後は「GIに乗れるチャンスをいただけたことに馬や調教師、オーナーには感謝しかありません。
アドミラルシップとともに臨める一戦をとても楽しみにしています」と決意表明。日本のGIタイトル奪取への並々ならぬ意欲も見せている。
一方、管理する相沢調教師の手応えは?
「関西に遠征して(新馬を)勝てたことはすごく自信になったよね。柔らかくて、いいバネがある馬なんだ。体つきなんかはまだまだ良くなる余地がありそうだけど、現時点でも十分にやれるだろうし、来年を見据える意味で楽しみが大きくなる競馬をしてほしい」
1勝馬でもポテンシャルは見劣りしないと感じていると同時に、これからの伸びシロの大きさにも計り知れない可能性を感じている。
まずは今週の
有馬記念で姉の
ライラックが、そして翌週の
ホープフルSでは弟の
アドミラルシップが…。暮れの中山での姉弟の躍動をひそかに楽しみにしている。
(立川敬太)
東京スポーツ