「
有馬記念・G1」(24日、中山)
イブ決戦に個性的なメンバーが集結。うち9頭の父はいずれも
グランプリを制した名馬だった。全5回で、父の輝かしい蹄跡を振り返る。
◇ ◇
最後も飛んだ-。2006年の
有馬記念も今年と同じく12月24日の
クリスマスイブ決戦。11万7251人の大観衆の前で、単勝1・2倍の大本命
ディープインパクトが、人馬一体の走りを見せて圧勝。当時の史上最多タイとなるJRA・G17勝目を挙げた。
06年前半は、
天皇賞・春で従来のレコードを1秒更新し、雨の
宝塚記念も4馬身差の圧勝。3歳時より一層すごみを増したディープは、世界最強の称号を目指して意気揚々と
凱旋門賞へ遠征するが、そこで大きな挫折を味わう。一度は先頭に立つものの、3位入線。レース後に禁止薬物が検出され、失格の憂き目に遭った。失意の帰国後は、
ジャパンCを快勝して汚名返上。ラストランとなった
有馬記念へと歩を進めた。
レースは
アドマイヤメインの大逃げで幕を開ける。ディープは定位置とも言える後方3番手からの追走。3角過ぎから徐々にポジションを上げると、4角で大外を一気に進出し、直線残り1Fで先頭に立った。ゴール前は手綱を緩める余裕ぶり。最後はこれまでのレース以上に、不死鳥のごとく飛んだ。まさかの2着で初黒星を喫した前年の借りを返す完勝劇に、場内実況は「これだ!これが
ディープインパクト!これが
ディープインパクトだ!」と絶叫した。
最終レース後、午後4時45分から始まった引退式。スタンドには多くのファンが残り、無数の
フラッシュが光った。数々の伝説とともにラストフライトを終えた火の鳥は、喧騒(けんそう)の中、静かに己の翼を畳んだ。
◆今年の産駒出走馬は
ジャスティンパレス、
シャフリヤール、
プラダリア
提供:デイリースポーツ