数々の名勝負が繰り広げられてきた
有馬記念。そんな中でも、伝説の一戦と語り継がれているのが1999年の
グラスワンダーと
スペシャルウィークの対決です。4センチ差の大激戦。
グラスワンダーの主戦だった的場調教師に当時の話を聞いてきました!
レースの2、3か月前からラ
イバルの調子や展開などを鑑みてプランを練っていたという的場師。それは連覇がかかったこのレースも同様でしたが、当時頭を悩ませたのは“騎手・
武豊”でした。「相手は
スペシャルウィーク1頭だと思っていた。だけど、馬の状態は上がってこないし、相手は
武豊だし、どうしようと思って頭が痛かったよ。何とかして
武豊をだますにはどうしたらいいか、ずっと考えていた」
初対戦となった
宝塚記念は、3馬身差をつけて快勝。それでも、
スペシャルウィーク×
武豊コンビは大きな壁として
グラスワンダーと的場の前に立ちはだかっていました。レースは
グラスワンダーの後ろに
スペシャルウィークがつける形でスタートします。「
スペシャルウィークの
天皇賞(秋)を見た時点で、有馬では後ろにいると思っていたよ。ただ、1対1のがっぷり四つの競馬では勝てっこない。だから、周りを利用するしかないと思ったんだ。最初のコーナーを回って(他馬を間に入れられて)うまくいったと思ったよ」
ゴール前は壮絶なたたき合いでした。どちらが勝ったかわからない大接戦で写真判定へ。ゴール直後にはこんなやりとりがあったといいます。「豊が“どうですか、どうですか”ってうれしそうに俺に言うんだ。こっちは負けたと思って気分が悪いから、“うるせえ”って。なのにアイツ、またどうですかって聞いてくるもんだから“負けた”って言ったんだ。あの時ばかりは、本当に嫌なヤツだって思ったよ(笑)」
負けたと思った一戦でしたが、
グラスワンダー×的場に軍配。わずか4センチ前に出ていました。「
グラスワンダーに助けられたなと思ったよ。デキが悪くても勝つのが名馬だよな」。そう
グラスワンダーをたたえると同時に口をついたのは、
武豊騎手へのラ
イバル心。「天才って言われているけど、俺に言わせればあいつは秀才だ。腹が立つくらい研究しているよ。あの若さで人間ができていたし、頭もいい。馬から下りたらいいヤツだけど、“騎手・
武豊”は大っ嫌いだ。だけど、その上を行かないと勝てない。何年も何年も豊に悟られないように乗っていたよ。だって、読まれたら勝てっこないもん」
さあ、今年の
有馬記念(24日=中山芝内2500メートル)。今年はどんなレースになるのか、そして、“的場騎手”を悩ませ続けた
武豊騎手はどんな騎乗を見せてくれるのか。注目の一戦まで、あと少しです。
(美浦の99年
グランプリ暴露女子・三嶋まりえ)
東京スポーツ