◇イブ有馬プレー
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ホリエモンの電撃逮捕にイナ
バウアー。ハンカチ王子などいろいろあった06年の世相を表す漢字は「命」。命の大切さを知り、慈しむ。この年は競馬ファンに忘れがたい特別な聖夜となった。
有馬記念のレース1時間後。日が落ち、冷え込み始めた中山競馬場はまだ大勢のファンの熱気に包まれていた。
ディープインパクトの引退式だ。市川厩務員、池江助手に引かれ、姿を見せた英雄にファンから「ありがとう!!お疲れさま!!」の声が飛ぶ。鞍上には
武豊の姿。照明に照らされ、浮かび上がる
シルエットは幻想的な美しさだった。引退にあたり
武豊が本紙に手記を寄せている。
「約束していた通りベストのレースができました。うれしい。こんなにうれしいことはない。応援してくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」
歴代最多タイ(当時)のG1・7勝目となった
有馬記念を「生涯最高のレース」と振り返り、「特に4コーナーを回るときが凄くて今までにないような感覚。モノ凄い速さ。飛びましたね。強烈にブッ飛んだ走り」だったと。熱い語り口調に、本紙読者はもう一度興奮と感動を味わったはず。
このレースを最後に現役を引退したディープ。種牡馬入りは、すなわち後世に命をつなぐ、一流馬の使命。種牡馬として以降の活躍は誰もが知る通り。19年7月30日に17歳でこの世を去った
ディープインパクト。最強馬が残した「命」は血脈として連綿と生き続ける。
スポニチ