「有馬記念・Ｇ１」（２４日、中山）

　山あり谷ありは人生のみにあらず。サラブレッドの現役期もしばしば「苦あれば楽あり」だ。３度目の有馬記念でラストランを迎えるタイトルホルダーもしかり。引退式の直前に大団円を迎えるため、ひたすら状態の高みを目指す。

　美浦Ｗでの最終リハには横山和が騎乗。ホウオウルーレット（４歳オープン）を６馬身ほど先に行かせてゆったり駆けだす。３コーナーで内から取り付くと、馬なりのままピッチを上げて、６Ｆ８２秒０-３７秒３-１１秒６で１馬身半先着した。

　ただ、指揮官＆鞍上はそろって若干慎重だ。栗田師が「最後はしっかりめに。あえて手綱を放してしっかりやった。ポンと手前を変えてくれたら良かったし、ストライドがもう少し広がればとも思うが、いい調教」と語れば、横山和も「悪くは感じないが、いい時はもう少し素軽さがあった。まあ、今はそんな走りなのか」と印象を伝えた。絶好調時を知っているからこそ目指すべき状態には貪欲になるのだろう。

　ジャパンＣは先行して５着。復活への手応えを残す内容だった。「直線はこの馬らしさが戻ってくる競馬でした」と横山和。上向きの感触は得ている。

　キャリア１９戦目で迎えるラストラン。「厩舎のＪＲＡ・Ｇ１初勝利。海外遠征、競走中止もあった。その中、一歩一歩前へ進む姿に厩舎も支えられた。この馬の競馬をしたいと思う。悔いない競馬を」。トレーナーは万感のラストランを想起している。

　＜調教診断＞攻め駆けするタイプとはいえ、５Ｆ６４秒６の時計はさすが。ただ、本当に良かった頃と比べると、年齢を重ねた分だけフットワークに硬さが見られるようになっている。直線に入ってもなかなか手前を変えず、ようやく変えたタイミングはゴール寸前だった。ジャパンＣ以上の出来とは言い切れず、せいぜい現状維持といったところか。

提供：デイリースポーツ